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日本政策金融公庫融資の返済期間を解説、資金目的別の期間の違いや適切な返済期間の決め方など

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日本政策金融公庫の融資にはいくつかの特徴がありますが、その一つに「返済期間が長い」というものがあります。しかし、具体的にどの程度の返済期間が設けられているかや、最適な期間をどのように決めたらよいかなどをご存知の方はあまり多くありません。そこでこの記事では、日本政策金融公庫の融資における返済期間や据置期間、期間の決め方の目安などについてご説明いたします。

日本政策金融公庫融資の返済期間って長いって本当?

日本政策金融公庫は、信用力の低い創業企業や中小企業であっても、通常の企業と同様の条件で融資を受けることができる、政府系の金融機関です。

民間の金融機関と比較して、低金利で長期の借入れをすることが可能です。

民間の金融機関では、長期に対応している融資の数が公庫ほど多くなく、とくに取引の浅い企業については短めの返済期間が設定されることも少なくありません。


しかし、日本政策金融公庫では、長期の返済期間に対応した制度が多く、ハッキリとした理由があれば長期での借入れも可能です。

なお、日本政策金融公庫の返済期間はすべての融資で一律ではなく、融資の種類や運転資金・設備資金の別によりそれぞれ異なった期間が設定されています。また、具体的な融資の利用にあたっては、その期間内で自分の希望する期間を申込むこととなります。


日本政策金融公庫の返済期間

日本政策金融公庫の代表的な融資の返済期間には、以下のようなものがあります。

運転資金の返済期間(含む最長期間)

運転資金とは、事業を運営する上で必要となる資金のことをいいます。

人件費や家賃、水道光熱、宣伝広告費などがこれに該当します。

日本政策金融公庫の主な融資の種類と運転資金の返済期間は次のとおりです。


・「一般貸付」5年以内(特に必要な場合7年以内)

 <うち据置期間1年以内>

・「新規開業資金」7年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「女性、若者/シニア起業家支援資金」7年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「新事業活動促進資金」7年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「中小企業経営力強化資金」7年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「企業活力強化資金」7年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」

 5年1ヵ月、7年、10年、15年、20年のいずれかで期限一括返済

・「マル経融資」7年以内<うち据置期間1年以内>

・「新創業融資制度」各融資制度に定めるご返済期間以内

・「担保を不要とする融資」各融資制度に定めるご返済期間以内

設備資金の返済期間(含む最長期間)

設備資金とは、事業に必要な設備を購入するための資金です。

内外装費や車両の購入費、厨房機器や空調設備などがこれに該当します。

日本政策金融公庫の主な融資の種類と設備資金の返済期間は次のとおりです。


・「一般貸付」10年以内<うち据置期間2年以内>

・「一般貸付」(生活衛生貸付)13年以内

 (1年以内、返済期間が7年超の場合2年以内)

・「新規開業資金」20年以内<うち据置期間2年以内>

・「女性、若者/シニア起業家支援資金」20年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「新事業活動促進資金」20年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「中小企業経営力強化資金」20年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「企業活力強化資金」20年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」

 5年1ヵ月、7年、10年、15年、20年のいずれかで期限一括返済

・「食品貸付」20年以内<うち据置期間2年以内>

・「マル経融資」10年以内

 <うち据置期間2年以内>

・「新創業融資制度」各融資制度に定める返済期間以内

・「担保を不要とする融資」各融資制度に定める返済期間以内


なお、新創業融資制度などの一部の融資に適用されている「各融資制度に定める返済期間以内」とは、利用する融資の種類により返済期間が変わることを意味します。

新創業融資制度や担保を不要とする融資は、それ単体が独立した融資ではなく、さまざまな融資に上乗せして利用するためのものです。


たとえば、新創業融資制度は、新規開業資金などに上乗せして利用することにより、本来、担保や保証が必要となるところを無担保・無保証で利用できるようにするものです。

また、担保を不要とする融資制度は、創業以外の融資について、同じように担保や保証人を不要とするための制度です。


このように、これらの制度は、他の融資を無担保・無保証で利用できるようにするためのオプションとなるため、具体的な返済期間はそのもととなる融資制度の期間が適用されることとなります。

返済期間における据置(すえおき)期間とは?

日本政策金融公庫の多くの融資には据置期間が設けられています。

この据置期間を上手に利用すれば、借り入れ当初の返済負担を楽にすることができますが、利用にあたっては注意しなければならない点もあります。

据置期間とは?

据置期間とは、融資の返済をする際に「元金の支払いをしなくてもよい期間」のことをいいます。

この据置期間を設けることにより、融資の返済の負担を軽くすることができます。

ただし、据置期間については次の2点について注意が必要です。


■据置期間を利用するとその後の元本の負担が重くなる

据置期間を利用した場合、融資の返済期間そのものが短くなるわけではありません。

したがって、据置期間が長ければ長いほどその後の元金の支払いの負担が重くなります。

例えば600万円を5年(60回)で返済するケースの場合、毎月の元金の支払額は10万円となります。

しかし6ヵ月の据置期間を利用した場合、返済しなければならない元金の支払い回数は60回-6回=54回となるため、支払期間を経過後の1回当たりの元金の支払額は 約11.1万円と割高になります。


このように据置期間を利用した場合には、その後の支払いが増えることに注意が必要です。


■利息の支払いも多くなる

据置期間を利用した場合には、元金だけでなくその後の利息の負担も大きくなります。 

600万円を60回、利率2.5%、元金均等方式で計算した場合の利息の総支払額は381,250円となりますが、据置期間を6ヶ月とした場合の利息の総支払額は418,750 円となります。

これは元金を支払わない期間の分だけ利息の支払い額が増えるためですが、このように据置期間を利用した場合には、利息の支払総額も増えることになります。


日本政策金融公庫の融資で据置期間を利用するためには、借入申込書の中の 「元金据置期間」の箇所に希望する期間を記入します。


しかし、据置期間は希望しても、必ずしもそのすべてが認められるとは限りません。

そのため、仮に1年の据置期間を希望している場合でも、審査の結果6ヶ月の期間しか認められないということもあります。

また、据置期間は返済開始後には変更ができないため、据置期間を決める時にはその後の返済額などに十分に注意してください。

創業融資に据置期間は必要?

創業融資を利用する場合には、できれば据置期間を利用することをおすすめします。

創業当初はどんなに綿密な計画をたてても、上手くいかないことが少なくないからです。

しかし、売上げが上がらないからといって1回でも返済が滞ってしまうと、その後の履歴に傷がつくこととなります。


とくに開業してから6ヶ月程度までは集客が困難となりやすいため、万が一のことも考え、3ヶ月程度は据置期間を取っておいたよいでしょう。

適切な返済期間の決め方

融資の借入れで、悩むことが多いのが「返済期間をどのくらいの長さにすればよいか?」ということです。

短い期間の場合には毎月の返済額が大きくなりますし、逆に長すぎる場合は1ヶ月あたりの返済額は少なくなるものの、支払い期間が長期となります。 


適切な返済期間を決めるには、まずはどのくらいの利益を上げられるかを正確に予想することが必要となります。

金融機関では、次の式により返済できる利益を考えます。

 融資額 / (経常利益+減価償却費)

たとえば、融資額が600万円の場合、予想される経常利益が100万円/年、減価償却費が20万円/年の場合は、600万円÷120万円=5となるため5年が妥当と判断します。


このように、適切な返済期間を何年にすればよいかについては、いくらくらいの利益を生み出せる計画になっているかということから計算することができます。

むやみに長い期間やむりな短い期間で申込んだ場合には、金融機関に認めてもらいにくくなるため、返済期間の設定に困った場合には、この考えを使って算定することをおすすめします。

返済がうまくいかないとき、日本政策金融公庫は返済期間の変更(延長等)に応じてくれる?

返済期間の変更方法・種類

日本政策金融公庫で融資を受けた場合には、はじめに定めた期間にしたがって返済をするのが原則です。

しかし中には、早めに返済したいとか、返済期間を延ばしたいというケースもあると思います。

このような場合に考えられるのが「一括返済」と「リスケジュール」の方法です。


■一括返済について

一括返済とは、当初に決められた返済計画によらずに、その時点の残高を一括して返済する手続きをいいます。繰上償還とも呼ばれます。

一括返済は、当初予定していた金利が得られなくなる、手続きが増えるなどの理由から、日本政策金融公庫ではこれを積極的に認めていません。


しかし、何らかの事情がある場合には、相談をすれば認めてもらうことが可能です。

なお、日本政策金融公庫には、国民生活事業と中小企業事業がありますが、このうち、中小企業事業の融資について一括返済をする場合には手数料が発生します。

(弁済手数料がかかるのは中小企業だけで、国民生活事業の融資については対象外となります。)


(公庫HPより)

平成8年7月1日以降の契約による新規ご融資について、公庫の承諾を受けて繰上償還をされる場合には、所定の算式による期限前弁済手数料をお支払いいただきます。(公庫の承諾のない場合、期限前弁済手数料をお支払いいただけない場合には、繰上償還はできません)


期限前弁済手数料=繰上償還額の約定期限までの平均残高×公庫が定める金利の差×約定期限までの残期間


なお、一括返済は、当初の条件を変更する取引であるため、これを行った場合には公庫の印象を悪くします。

その後の追加借り入れの際には、審査に影響する可能性もあるため、できるだけ当初の予定通りに返済することをおすすめします。

また、返済期間の途中で5回分だけ返済期間を短くしてほしいなどということは、原則としてできません。


■リスケジュールについて

事業の途中で資金がなくなり、予定通りの額の返済ができないという場合には、公庫の了解を得て返済期間を長くし、1回あたりの返済額を少なくすることができます。

このような手続きを「リスケジュール」といいます。


リスケジュールでは、その時の債務者の資力に応じて元本の額を決めるため、その額に応じて返済期間も変化します。

ただし、リスケジュールは、金融機関にとって不利な支払い条件の変更となるため、これを行った場合には債務者区分が低下し、新規の融資の借入れがしにくくなります。

まとめ

日本政策金融公庫ではさまざまな種類の融資を取り扱っていますが、その種類ごとに返済期間の上限は異なるため、利用する融資が自分のプランにあった期間となっているかどうかを確認しましょう。


また日本政策金融公庫では、一定の期間について元本の支払いを猶予する据置期間の設定が認められています。


ただし、具体的な返済期間や据置期間は公庫の審査により決まるため、必ずしも希望通りの期間となるとは限りません。

なお、据置期間を利用した場合にはその後の支払額か多くなったり、利息の支払総額が増えることに注意してください。

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この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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