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日本政策金融公庫の事業計画書、融資審査の重要書類の書き方と記入例

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日本政策金融公庫の事業計画書、融資審査の重要書類の書き方と記入例
日本政策金融公庫で融資を受ける際には、事業計画書の提出が必要となることがあります。とくに、創業融資の申込みでは、創業計画書の提出が必須となるだけでなく、その内容や書き方などは審査に大きな影響を及ぼします。この記事では、事業計画書を作成する意味や、具体的にどんなことを書けばよいのかなどについて解説いたします。
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融資の審査で必要な事業計画書ってなに?

事業計画書は、創業者の事業プランを実現するための具体的な行動を示す計画書です。事業計画書を作ることにより、今後に進むべき方向性を具体化できるだけでなく、現時点で不足している資源や能力などを明確にすることができます。
具体的な事業計画書の内容は、事業内容や企業の戦略・収益見込みなどをまとめたものとなりますが、これを作成することにより次のようなメリットが得られます。

① 金融機関や投資家などに提示して、資金調達をすることができる。

銀行や投資家から融資を受ける際には、事業のプランや将来性を示してその理解と協力を得る必要があります。そのため、それらの材料となる事業計画書の内容は、資金調達の結果に対して大きな影響を及ぼしますまた、創業や新事業などのケースのようにこれまでの実績を示すことができない場合でも、事業計画書により現在のプランや今後の成功のイメージを伝えることが可能となります。

② 自分自身で事業の内容を客観的に見つめ直し、改善するヒントを得ることができる。

頭の中だけで考えた計画は、よくできたつもりでもどこかが抜けていたり、詰めの甘いものとなってしまいます。しかし、これを事業計画書としてまとめた場合には、不足している部分が明確となり、不足している箇所や整合性の取れていない部分などを見つけやすくなります。また、事業計画という形にすることにより、さらに内容を改善するためのヒントなどを見つけることができます。

③ 補助金や助成金の申請資料とすることができる。

補助金や助成金を申請する場合には、ほとんどの場合で事業計画書の作成が必要となります。補助金や助成金で必要となる事業計画書は、あらかじめ指定された内容について記載する必要がありますが、通常の事業計画書と共通する部分が多いため、これを作成することで、申請のための資料とすることができるだけでなく、その後の経営に生かすことも可能となります。

④ 第三者への相談資料として活用できる。

自分の計画は公正に自分自身で評価したり、間違いを見つけるのが難しい場合が少なくありません。そのような場合には、アドバイザーや専門家に意見をもらうのも有効な方法となります。このような相談をする場合には、まずは計画の概要をアドバイザーなどに示す必要がありますが、事業計画書はこのような場合の資料としても役立ちます。

なお、事業計画書を作るときには、以下のようなことに注意してまとめていくことで、計画の内容を整理しやすくなります。
・起業や事業の目的  
何のためにどのような事業をするのか?
・保有する資源の確認  
どのような資源(資金、ノウハウ、人材等)をもっているのか?
・周囲の環境  
業界の状況や競合店の存在、事業に関する法規制や許認可など
・必要な資金の規模や調達の見込み  
事業にいくらぐらいの資金がかかるのか?不足がある場合にはそれをどのように調達するのか?など
・売上目標や今後のプラン  
いくらくらいの売上げを上げ、そのためにかかる経費をどの程度に見込んでいるのか?事業開始後の進め方はどうする?

事業計画書と創業計画書の違い

事業計画書と創業計画書は同じもののように見えますが、その目的や用途は以下のように異なります。

・作成の目的

事業計画書は、すでに行っている事業について、または現在の事業を発展・改良することを目的にして作成される計画書ですが、 創業計画書は、これから新規に行う事業について作成するものです。

したがって、前者はこれまでの事業の実績や経歴をベースにして作成するのに対して、後者については、具体的な経験や実績を前提とせず、見込みにもとづいて作成される点に違いがあります。また、計画の元となる資料も、前者は決算書など過去の実績の資料が中心となるのに対して、後者は収支の予定表などとなります。

・作成の必要度

創業計画書は、創業者が銀行からの融資やベンチャーキャピタルからの出資を受ける際に必ず求められるものであるのに対して、事業計画書は過去の実績や計画の概要、調達の必要性などが他の資料からある程度わかる場合には、作成が必要とされないこともあります。

例えば、日本政策金融公庫の融資の場合、初回の申込みでは創業計画書が必要となりますが、2回目以降の申込みについては、借入申込書により申込みができるようになります。

・記載すべき項目

創業計画書に記載する項目は、「創業の目的」や「過去の事業の経験・経歴」、「資金の調達の方法」などが中心となりますが、
事業計画書においては、「計画の目的」や「過去の業績」、「今後の計画や改善策の内容」などについて作成することとなります。

以上のように、創業計画書の主体となるのは、今後の計画の内容やそれを裏付けるための根拠となりますが、実績がないためいずれも想定したプランを中心としたものとなります。
これに対して事業計画書は、これまでの事業の結果を踏まえた上での計画となるため、収支の見込みなども単なる想定ではなく、実績にもとづいた内容であることが求められます

日本政策金融公庫の事業計画書、どこから手に入れる?

日本政策金融公庫では、新創業融資制度を利用する方向けの創業計画書をホームページからダウンロードすることができます。また、業種別の記入例も豊富に用意してあり、自分の業種にあった記載例を参考にすることができます。
さらに、日本政策金融公庫では、新創業融資制度用の創業計画書の他、中小企業経営力強化資金用、創業後目標達成型金利用、海外展開事業計画書、事業承継計画用、経営改善用などの各種計画のフォーマットを多数用意しており、申込みにあたっては利用する融資の種類に応じたものを使用することとなっています。

創業計画書・事業計画書フォーマット
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

日本政策金融公庫の事業計画書、融資のどの場面で使われる?

日本政策金融公庫の創業融資の申込みをする際には、必ず創業計画書を提出しなければなりません。創業融資では、申請者に事業経験がないため、創業計画書の内容は融資をするかどうかを審査する上で、ほぼ唯一の判断資料となります。そのため、その内容のよしあしは融資の結果に大きな影響を及ぼします。

一方、事業計画書は、創業融資以外の融資をする際に必要応じて求められますが、中にははじめから事業計画書の作成が義務となっている融資制度もあります。しかし、通常の融資では、事業計画書は自分の計画や事業に対する考えを補足する資料として利用されることも少なくありません。

通常の融資では、申込みは「借入申込書」を提出して行いますが、この申込書に記載する項目は簡単な資金使途や金額だけのため、これだけではこれから行う事業の概要や収支の内容、成功の見込みなどを伝えることができません。しかし、事業計画書をすることで、申込証だけでは表現できなかったことを詳細に伝えることができます。
なお、「事業計画書の提出が求められていないのに、提出してもよいのか?」ということについては、提出が要件となっていない場合でも提出された事業計画書は融資審査の判断資料として利用されます。

また、日本政策金融公庫では、融資の判断や決済を求める場合には、稟議というかたちで上席の了承をとる必要がありますが、その場合にも事業計画書があった方が有利となります。

以上のように日本政策金融公庫の融資を申込む場合には、事業計画書の作成が条件となっているというケースだけでなく、計画の内容を補足して審査における理解を得る目的でも活用することができます。

日本政策金融公庫の事業計画書、項目別・書き方のポイントとは?

日本政策金融公庫の事業計画書のフォーマットは、利用する融資の種類により異なりますが、主な項目としては以下のようなものがあります。

事業内容

事業内容は、その企業が具体的にどのような内容の事業を行っているのかや、これまでの経歴、実績などを踏まえて記載します。具体的な項目や記載の場合のポイントは、次の通りです。

・商号、本店、資本金、事業の種類、設立年月日、役員数や社員数など

この項目では、上記のような企業の基本的な属性に関する事項を記載します。なお、これらの内容は会社の登記事項証明書や決算書に記載された内容と、食い違いのないようにする必要があります。

・これまでから現在にいたるまでの企業の状況

企業のこれまでから現在にいたるまでの状況を簡潔にまとめて記載します。
具体的には、どのような事業行い、どのような商品・サービスの販売を行ってきたか、主な取引先にはどのようなところかあるかといったなどを記載します。
また、さらに、自社を取り巻く内部環境や外的要因、競合や業界全体の状況などを記載すれば、なおベターとなります。

・今回の計画が必要となった理由

事業計画書の作成の理由が融資などの資金調達である場合には、「なぜ、その資金が必要となったのかについての理由」、「いくらの金額が必要なのか?」、「何に使うのか?」などについて記載します。
また、事業計画書の作成の理由が経営改善のためである場合には、「改善に至るまでの経緯」や「改善の方向性」などについても記載します。

経営者のプロフィール

事業計画書、経営改善計画書のいずれを作成する場合でも、企業の代表者のプロフィールを記載します。
具体的には、氏名、住所、年齢、職歴、在職期間、保有資格などを記載しますが、これ以外にもこれまでの事業における貢献や褒章事項などがある場合にはそれらについてもあわせて記載します。
なお、職歴については単に〇〇部所属などのような簡単なものではなく、実際にそこで行った作業や内容についても記載することをおすすめします。

事業の見通し・収支計画

事業の見通しについては、なぜそう思うのかということだけでなく、そのように考えられる具体的な根拠を客観的な資料(過去の実績データや公的な資料など)にもとづいて記載するようにします。

また、収支計画については、計画の開始月を基点に毎月ごとの見込みを記載した予測を3〜5年分にわたって記載します。こうすることにより、年度ごとではわからない売上げや利益の流れが明確になるとともに、資金繰り面で問題がないかといったことも確認できます。
収支計画の内訳については、「繰越金」・「売上げ」・「原価」・「売上総利益(粗利)」、「販売管理費(家賃・給与・光熱費等)」、「営業利益」、「営業外収益・費用(受取利息・支払い利息など)」、「経常利益」、「特別利益・損失(固定資産売却益・損など)」「税引前当期純利益」、「支払い見込み税額」、「当期純利益」などを記載しますが、該当する項目がない場合にはもっと簡略化しても構いません。

必要資金と調達方法

これから行う事業に関して、必要となる資金とその調達方法を記載します。
必要資金については、その資金を何に使用するのかについての内訳と金額を、運転資金と設備資金に分けて記載するのが一般的です。また、調達方法については、必要となる資金をどのように調達するのかを自己資金や金融機関からの借入れ、その他の方法による調達をする場合はその内容と金額をそれぞれに記載します。なお、この場合の必要資金の額と調達金額は必ず一致するようにします。

日本政策金融公庫の事業計画書記入例

日本政策金融公庫の事業計画書の記入例としては、以下のようなものになります。

企業概要

<企業名等>
代表者名   山崎 武
企業名・屋号
ベジリアンカフェ株式会社(仮)
所在地     
○○県○○市○○3-10
設立年月日  
2017 年 12 月 1 日(予定)
資本金   500 万円
事業内容   
カフェレストラン 『自家焙煎した世界の珈琲』と『地元野菜と使ったランチ&スイーツ』の提供

<経歴>
・2010 年 3 月
 〇〇大学経済学部卒業
・2010 年 4 月
 〇〇珈琲株式会社 入社 
 大阪支店営業部 専門店営業に従事
・2011 年 4 月
 店舗運営部にて直営店に勤務
・2018 年 3 月
 〇〇珈琲株式会社 退社

<資格>
・2007 年 3 月
 普通自動車免許取得
・2010 年 5 月
 食品衛生責任者取得

<企業の動機>
・私は、これまでに大手カフェチェーンの○○で 7 年間勤務し、2 年前ぐらいからこれまでの経験を活かして自分のこだわりの店を持ちたいと思っていました。そのような中、昨年、地元の同窓会に参加したときに「東京にあるようなおしゃれな空間でくつろげるカフェがない」と言 われ、地元に喜んでもらえるようなカフェを開きたいと考えたのが起業のきっかけです。なお、親からも 30 才までには、地元に帰ってくるよう言われていたため、このことも起業を後押しするよいタイミングとなりました。

・私自身は、学生の頃は珈琲が嫌いでしたが、老舗の珈琲店で「苦味の少ない珈琲」を入れてもらい、珈琲のおいしさを知りました。そのときから珈琲を飲み続けており、今では自分がおいしいと思う珈琲を、わかりやすくお客さんに提供したいと思っています。

 ・地元には新鮮な野菜が豊富にあるため、地元の野菜をたくさん使った料理を食べてもらえるメニューにしたいと考えています。また、妻が野菜ソムリエの資格を持っているため、栄養バランスを考えつつもちょっと変わった野菜料理や野菜を使ったスイーツ等も提供し、「野菜の魅力」を伝えたいと思っています。


事業内容
<ビジョン・目標>
・「こだわりの美味しさと居心地の良さ」を提供し、地域の人たちに「お気に入りの空間」を提供したい。
・3年後の売上高は27 百万円、営業利益は5 百万円を目標にする。

<事業コンセプト>
① 商品・サービスの内容
・「自家焙煎珈琲」
ハワイ、コスタリカ、ブラジル、プエルトリコなどの世界各地の珈琲豆を自家焙煎した珈琲
・「地元野菜料理」
季節に合わせた旬の地元野菜を使った野菜のカレー、ソイミートのハンバーグ、野菜のミネストローネ等
・「地元野菜スイーツ」
野菜本来の味を活かしつつ、甘さをおさえた野菜パフェ、野菜パンケーキ、野菜と果物のスムージー等
・セットメニュー
野菜料理のランチセット、野菜スイーツと珈琲のセット

② ターゲット顧客
・自分の好みの珈琲を気軽に飲みたい人
・好きなものをおいしく、健康的に食べたいと思っている子育て世代の女性
・〇〇市X地区の地元の人

③ サービス・商品の提供方法・仕組み
・世界各地の珈琲豆や挽き方による苦味や酸味の違いをマッピングすることで、お客さんへ自分に合った珈琲をわかりやすく選べるように提供する。また、顧客の好みに焙煎加減を調整するなどにより満足度を高め、リピーターを獲得していく。
・フードメニューは、野菜ソムリエが監修し、地元の旬の野菜をボードやメニューブックで紹介する。野菜の産地、品種、栽培方法などの詳細情報を発信することで、素材から興味をもってもらい、これにさまざまな加工を施すことでの味の変化や栄養面での違いを伝えていく。
・SNS を活用して珈琲に関する知識や食材のこだわり、料理のレシピ等を紹介し、興味を深めてもらう。
・居心地の良い空間をつくるため、テーブルやイス、コーヒーカップや食器等も北欧風のもので統一する。また、コストを下げるため、中古品店等を利用して仕入れる。

現状分析
(1)業界のトレンド、市場規模
・カフェ市場の規模は、ここ数年 1 兆 1,175 億円(出典:(公財)食の安全・安心財団)前後で推移しているが、外資系を含めたセルフ式コーヒーチェーンの進化や、コンビ二のカフェ展開など、コーヒー市場のすそ野が大きく広がっている。
・コーヒー豆の品種や産地にこだわる「サードウエーブ(第3の波)」と呼ばれる新しいトレンドが生まれている。また、外食各社の参入が相次ぎ、月定額の会員制のコーヒー店などの新たな販売手法によるサービスも増加している。
 (出典:J-net21 業種別ガイド)
・家計調査によると、1世帯当たりの喫茶代への年間支出金額は平成25年以降、増加傾向にあり平成28年は10年前に比べ17.2%増となっている。喫茶代への支出があった世帯の割合も29.5%と、2.7ポイント上昇している。
(出典:家計ミニトピックス 総務省)
・「苦すぎない珈琲」とか「酸味が強いほうがいい」といった自分に合う、おいしい珈琲を飲みたい人が一定数いる。
・○○市には、都会にあるような居心地がよく、おしゃれなカフェがあまりなく、地元にUターンで帰ってきた若い人が「自分の時間を過ごせるカフェがない」という声を聞いている。

(2)競合の状況
出店候補地の半径500m圏内にカフェが2店舗あり、それぞれの特徴は次のとおり。
① A店
・大手チェーン店で1 杯220 円の安さがウリとなっている。店内は数年前にリニューアルをして新しく、清潔感がある。席数は40 程度。学生から高齢者まで幅広いお客さんが利用しており、いつも混雑している。席と席の距離も近く、サッと珈琲を飲むはいいが、のんびり過ごせるような空間ではない。
② B店
・開業50年前の老舗の喫茶店。サイフォン珈琲を提供し、珈琲好きの常連客も多い。特に 50~60 代の男性客やランチタイムのビジネスマンの客が多い。店内が喫煙可能となっており、タバコを吸わない人は店に入りにくい。若い女性客が少ない。

(3)自社・事業の強み・優位性
・自家焙煎することで、大量生産・大量供給では提供できない珈琲豆本来の個性豊かな香りとコクを提供できます。私は、これまでのカフェ勤務で豆・味・抽出技術を学ぶとともに、プライベートでも焙煎技術の勉強会やワークショップに参加し、スキルを磨いてきました。また、現在では産地の珈琲豆の特性に合わせて、最適な焙煎技術や珈琲の抽出ができるようになっています。
・珈琲豆のワークショップを通じて知り合った珈琲豆の卸業者から、市場では出回りにくい世界各地の珈琲豆を手ごろな価格で調達できます。卸業者には、「一人ひとりに合った珈琲をもっと身近に」という想いに共感してもらったことで、小ロットでの仕入れに対応してもらうことができます。
・大手カフェチェーン店で、アルバイトから含めると7年間勤務しました。最後の2年間にいては店長として勤務してため、効率的な店舗オペレーションや従業員管理のスキルもあります。
・妻が野菜ソムリエの資格を持ち、野菜の栄養、素材に合わせた調理法に詳しいです、また、地元の旬の野菜や果物を使った料理を開発できるため、他社にはないメニューを提供することが可能です。(事業の優位性)
・当店は、出店エリアのX地区において、珈琲の産地や焙煎方法にこだわり、フードメニューのバリエーションが豊富なカフェを目指しており、競合他店との差別化が可能と考えています。B店の老舗喫茶店は、珈琲豆の品揃えが豊富であり、本格的な珈琲を提供していますが、若い世代をターゲットとする当社と顧客層が異なるため、違いが出せるものと考えています。また、地域の野菜や果物を使った食材を、野菜ソムリエが創作料理として提供しているカフェはなく、フードメニューにも特徴を出せるものと思われます。

販売計画
(1 年目)売上高 21,000 千円
午 前      
 20 席×客単価 500 円×1.0 回転×営業日 300 日=3,000 千円
ランチタイム   
 20 席×客単価 800 円×1.5 回転×営業日 300 日=7,200 千円
午 後      
 20 席×客単価 600 円×2.0 回転×営業日 300 日=7,200 千円
ディナータイム  
 20 席×客単価 1,200 円×0.5 回転×営業日 300 日=3,600 千円

仕入れ計画
A農園 〇県〇〇市1-1  
 仕入割合 50%  支払条件 末〆翌 25 日支払
B農園 △県〇〇市2-1         
      25%      末〆翌 25 日支払
その他食品スーパー等           
      25%               ―

店舗・施設計画 
(1)出店エリアの状況
・出店予定地の○○市X地区の人口は○万人、約○千世帯が住んでいる。近年、駅前の再開発が進み、郊外や別の地域から移り住んできた住民が増えているエリアである。
・また、行政側も保育園等の子育て支援施設を増やすなど、子育てに優しいエリアとして、若い家族世帯が住みやすい環境を整えている。そのため、ターゲット層となる20代~40代の子育て世代が、近隣エリアよりも増えている状況である。
・隣接しているY地区やZ地区には、週末を中心に買い物に来るお客さんが一定数いるため、買い物のランチタイムやお茶タイムに利用してもらえる可能性が高い。

(2)店舗概要
・2ヶ月前まで別の飲食店であった店舗を居抜きで利用する。
・最寄り駅から徒歩7分程度
・3階建てのテナントビルの1階に出店。2階と3階には、学習塾や雑貨店等の複数店舗が入居している。
・築15年程度の鉄筋コンクリート
・延べ床面積30坪、厨房面積6坪
・席数は20(2 名用テーブル 6、4 名用テーブル 2)
※ 参照 日本政策金融公庫 創業計画書記載例

公庫事業計画書の注意点

日本政策金融公庫へ提出する事業計画書を作成する場合には、以下の項目に注意して行う必要があります。
事業計画書は複数の人にチェックされる、手抜きはバレるので注意
金融機関やファンドでは当然ですが、それ以外の機関へ提出した場合でも、事業計画書は複数の人間にチェックされるのが一般的です。そのため、内容の手抜きなどがある場合にはほぼ間違いなく指摘されることとなります。
手抜きをする原因としては「よくわからなかったので、省略した」「内容について深く考えていなかった」などが考えられますが、いずれにしても求められている項目について十分な記載ができていない場合には、計画全体の評価を下げることとなってしまいます。
また、記載例などの内容をそのまま引用するなどといった行為もNGです。
文章の形式やまとめ方などを参考にするのは構いませんが、プランや方針などをそのまま引用したものはすぐにばれるだけでなく、ビジネスの内容そのものを疑われることとなります。
したがって、事業計画書を作るときには、手抜きやマネをせず、自分の考えているアイデアを最大限に伝えるという気持ちで作る必要があります。

事業計画書はできるだけ経営者本人が作成する、人任せにしない

事業計画書を作成するときにプランの作成から方針までをすべて他人に丸投げする方がいますが、これは絶対にやめましょう。専門家やコンサルに依頼すれば、確かにまとまった体裁のよい計画を作ってもらうことは可能です。しかし、どんなに詳しいヒアリングをしたところで、経営者が考えている方針やそれを実現するための戦略などをすべて計画に表すことはできません。

また、見栄を張って実際には実現が難しい計画を作るということも、しないようにしましょう。
金融機関などでは、融資をした先へ定期的に決算書の提出や、ケースによっては進捗状況の結果を求めるということをしています。その際に、「はじめに提出された計画の予測と現状が大幅にずれている」、「融資の時に約束したことができていない」などということがあった場合には、経営の改善を求められたり、その後の融資をしばらく見合わせるなどとなります

さらに、事業計画書を自分で作成しない場合には、面談が行われた場合に、経営者本人が簡単な質問にも応えられなくなるという可能性もあります。
このように自分で計画を作らずに人任せにした場合には、計画の内容そのものが貧弱なものとなるだけでなく、実態とかけ離れた信ぴょう性のないものとなってしまいます

事業計画書の作成で難しさを感じたら認定支援機関を頼るのも早く作るコツ

事業計画書の作成に慣れていない人が、いきなり計画を作り始めてしまうと、内容に漏れや重複、間違いが生じたり、前後で整合性のない内容となってしまいがちです。
事業計画書を作成する際には、必要な項目ごとに、現時点で思いつく内容を箇条書きで書き出すことをおすすめします。この場合には、漏れや重複、体裁などを考えずに、取りあえず思いつくことをすべて書き出します。

次に、全体の内容を俯瞰し、同じような意味の箇所については一つにまとめる、漏れている項目がある場合には追加するといった作業を行います。このようにして、各項目についてのアウトプットができたら、必要に応じて文章の前後を入れ替える、誤字や表記ゆれなどを修正する、体裁を整えるなどをして、文章として完成させていきます。

また、収支計画などの数値を記入する部分については、最後に作成します。なぜなら、計画の内容や数量などが固まっていない状態で作成してしまうと、途中で内容に修正が生じたときに収支計画全体を作り直さなければならなくなってしまうからです。
最後にあらためて、「誤字、間違い、見落としがないか?」、「文章部分と収支計画の数字に齟齬がないか?」、「計算式や計算そのものに間違いがないか?」などを確認して最終的な計画を作成します。

以上のような手順で事業計画書を作成すれば、内容のもれや間違いが少なくなるとともに、全体的に整合性の取れた計画を効率よく作成することができます。
なお、計画ができた後の見直しは非常に重要です。自分では完璧にできたと思っていても、いくつかの間違いは起こります。したがって、計画の見直しは2度、3度と行うのは当然ですが、専門家などの第三者に見てもらうというのもミスをなくすために有効な方法です。

まとめ

事業計画書は、自分の頭の中にあるプランを具体的な形にまとめることにより、漏れやミスを見つけることができるだけでなく、計画そのものを客観的に見直すのに役立ちます。また、金融機関から融資を受ける場合や、ファンドから出資を受ける場合には、その出来・不出来が成否を決める重要な決め手となります。事業計画書に記載する項目は、どのような目的で計画を作成するかにより異なりますが、求められている内容を見落とさないよう注意する必要があります。また、作成した計画は何度も見直す必要がありますが、第三者から客観的な視点で見てもらうということも検討しましょう。

この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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