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銀行融資で審査にうまく通る方法とは?審査基準や審査期間を詳しく解説

# 銀行融資
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融資を利用する場合に避けて通ることができないのが、「銀行の審査」です。 特に事業計画書の内容については、単に記載ができているだけでなく、「全体の整合性はあるか?」、「根拠にもとづいて作られているか?」などが厳しくチェックされます。 また、融資の審査には一定の時間が必要となりますが、あらかじめこれを把握できていないと、「店のオープンに融資が間にあわない」、「必要な支払いができない」などということになってしまいます。 この記事では、銀行融資の特徴やどうすれば審査に通りやすくなるかといった、融資を成功させる上で欠かせないポイントをご説明します。 これから融資を受ける方は、まずはこの記事をお読みいただき、融資の流れや注意点を把握されてから申し込むことをおすすめします。

銀行融資の特徴

銀行融資は、日本政策金融公庫などの政府系銀行融資と、都市銀行や地方銀行、信用金庫などといった民間系銀行融資の2種類にわけられます。

それぞれで融資の仕方に違いはありますが、銀行融資には次のような共通の特長があります。

金利が低い

銀行融資は、他の資金調達方法と比べて、低い金利で借り入れをすることができます。

具体的な金利は、借入企業の信用力や実績により異なりますが、通常は2~4% 程度の金利で借り入れをすることが可能です。

ただし、同じ銀行であっても、支店や借り入れの種類(手形貸付、手形割引、証書貸付など)により、金利や返済期間の条件が異なります。

融資限度額が大きい

銀行融資では、 他の方法よりも大きな金額を借りやすいという特徴があります。

通常、信用力の低い創業者が高額の借入れをするのは困難ですが、銀行融資を利用すれば、 数百万円から1,000万円以上の融資を受けることができます。

また、信用力の高い企業や高額の担保を提供するケースでは、一度で数億円規模の借入れをすることも可能です。

審査に時間がかかる

銀行融資では、審査の完了までにある程度の時間がかかります。

これは融資の審査の際に、担当者→融資係長→上席役職→支店長といった、複数人のチェックを受ける必要があるためです。金額の大きい融資や複雑な案件の場合には、支店の決済だけでなく、本店審査部などの決済も必要となるため、さらに時間がかかります。また、その銀行ではじめて融資を受ける場合(創業融資の場合を含む)には、信用調査や書類の確認に時間がかかるため、 融資の振り込みまでに一か月以上の時間がかかるのが一般的です。


ただし、2回目以降の取引では、審査期間は短縮され、早い場合では1~2週間程度で融資が振り込まれます。

審査に通る難易度が高い

銀行融資では慎重な審査が行われるため、他の借入れよりも難易度が高くなります。銀行では、企業の財務内容だけでなく、信用情報なども調査し、総合的に融資の決定をしますが、多くの項目について審査するため難易度が高くなるだけなく、必要書類なども多くなります。

どうしたら銀行融資の審査にうまく通る?審査基準とは?

融資審査では多くの項目についての調査が行われますが、どの銀行でも審査のポイントはある程度共通しています。

そのため、審査のポイントをあらかじめ把握し、対策を立てておくことで、より審査に通りやすい申込みをすることが可能となります。


代表的な融資審査のポイントとしては、次のようなものがあります。


・企業の財務内容(決算書の内容)

・最近の経営の状況

・過去の経歴や返済の実績

・個人情報の状況

・借入れの目的や資金使途、申込額の妥当性


1.銀行が評価する格付けが良い

銀行が企業に融資をする際には、その企業を一定の基準で評価し、内容に応じたランク付けを行います。 これを「銀行による企業格付け」といいます。

通常、企業の格付けは、債務者区分という基準にもとづき、以下の5つのランクのどれに該当するかにより行われます。


正常先・・・業績が良好であり、財務内容にも特段の問題がない

要注意先・・・業績低調、延滞など、今後の管理に注意を要する

要管理先・・・融資支払いについてリスケジュールをしている

破綻懸念先・・・現在は経営破綻の状況にないが、今後、破綻が懸念される

実質破綻先・・・法的・形式的な経営破綻の事実はないが、実質的に破綻状態


なお、実務では、このランクをさらに銀行ごとの基準にもとづき細分化し、運用しています。


この格付けの高い企業は、安定・安全な融資先として、低い金利での貸し出しや、高額な融資をうけやすくなる一方、格付けの低い会社では金利が高くなったり、希望の額の融資が受けにくくなったりします。

2.貸借対照表の純資産がプラス、資産科目の中身が良い

銀行が企業の財務内容を審査する場合には、必ず決算書にもとづく評価を行いますが、その際に注意しなければならないのが、「貸借対照表の中身」です。

銀行では、企業の貸借対照表をそのままの形ではなく、その中身を実態に近い形に置きかえた上で審査を行っています。このようにして作られた貸借対照表を「実体的貸借対照表」といいます。


たとえば、決算書では有価証券の金額が1,000万円となっていても、時価評価では500万円の価値しかないと判断した場合には、これを500万円として算定します。また、 繰り延べ資産などの実質的な価値がない科目については、これを0として評価するのが普通です。

そのため、決算書上では純資産がプラスでも、実態的な評価では資産がマイナスとなることもあります。


このように実質的な資産価値に見直した上で、「貸借対照表の 純資産がプラスとなっているか?」、「勘定科目の内容に問題がないか?」などについて評価を行います。

3.損益計算書の営業利益、経常利益とも黒字

決算書を審査する上で欠かすことができない、もう一つの重要なポイントが「損益計算書」です。


貸借対照表が会社の設立時から直近までの財産や負債の状況を表すのに対し、損益計算書はその期の企業の損益状況を表している点に違いがあります。

損益計算書は、売上げから原価や経費等を差し引き、利益がいくらあるかを表したものですが、融資の審査では、とくに「営業利益」「経常利益」が重視されます。


「営業利益」は、売上げから原価と販管費を差し引いた時点での利益です。なぜ、これが重視されるかといえば、この利益が会社の本業での儲けを表すものだからです。そのため営業利益が赤字となっている企業は、通常、融資を受けることができません。


一方、「経常利益」は、営業利益から本業以外の利益や損失(株の売却など)を加減した利益です。これを見ればその企業が経常的にどの程度の利益を上げているかがわかるため、融資をする際の目安とされます。


したがって、融資の審査では、この2つの利益が「黒字となっているか?」、「返済が可能となるだけの額を確保できているか?」といったことが重要となります。

4.資金使途が明確

銀行で融資を受ける際には、「融資を何に使うのか?」という、資金使途が明確になっている必要があります。

資金使途は「設備資金」「運転資金」の2つにわけられます。


設備資金は、企業が営業に必要な設備を購入するための資金です。

営業車両や機械装置、内装費、業務用ソフトの購入費などがこれに該当します。

一方、運転資金は、企業が営業をする上で必要となる経費に関する資金をいい、設備資金以外のものが 運転資金となります

家賃や水道光熱費、人件費、仕入れ代などがこれに該当します。


銀行では、この資金使途から「いつ、どうやって返済するのか?」、「返済の財源は何なのか?」などを判断するため、 その内容がどちらなのかということは非常に重要なポイントとなります。


なお、もし、設備資金の名目で借りた融資を運転資金で使っているような場合には、資金使途違反として融資の一括返済を求められることがあるだけでなく、その後の借り入れも難しくなってしまうので注意してください。

5.融資希望額が妥当

融資が通りやすいかどうかは、「融資の希望額が妥当かどうか?」ということにも密接に関係しています。

融資希望額が妥当かどうかは、通常、「返済キャッシュフローがどのくらいあるか?」により判断されます。返済キャッシュフローとは、融資の返済に充てることができる利益及びこれに類するものの合計をいい、次の計算式で算定されます。


返済キャッシュフロー

「税引き後利益+減価償却費」


税引き後利益は、経常利益に特別利益や特別損失を加減し、そこから見込み税金額を差し引いた、いわば最終的に残る利益となります。なお、銀行よっては、税引き後利益に代わり、「経常利益」や「営業利益」を用いる場合もあります。また、減価償却費は、企業が購入した設備の額から法律の規定にもとづいて毎年差し引くことができる償却費のことを指しますが、この減価償却費は、実際に現金が支出されるものではないため、現金と同等のものとして計算されます。

銀行では、この 税引き後利益と減価償却費をあわせたものが融資の返済財源になるものとして考えているため、融資の額もその範囲内のものとなっている必要があります。


例えば、返済キャッシュフロー600万円/年の企業が融資を5年で返済する場合、妥当な融資額は600万円×5年=3,000万円ということになります。

しかし、この企業が同じ5年の返済の予定で4,000万円を借りたいとしても、この場合は返済キャッシュフローが1,000万円不足するため融資が難しくなる可能性が高いといえます。

6.返済財源が明らか、または十分な返済能力がある

融資を受ける場合には、「どうやって返済の財源を用意するのか?」ということも重要な要素となります。

一般的には、運転資金の借入れについては「今後に売り上げる利益」、設備資金については「その設備を導入して生産能力等が向上したことにより得られる利益」が、それぞれの返済財源となります。


例えば、運転資金については、「今月に販売した商品の売掛金が来月末に回収できるので、その代金で支払う」というのが返済の基本的な考えであり、この場合は資金繰り表を見せることで返済財源を明らかにすることができます。


これに対して、設備資金の場合は「新たに生産設備を導入することにより、増産した利益で返済する」というのが返済財源の基本的な考え方です。

具体的には、これまで@1,000円の商品を1,000個/月を生産していたが、設備の導入により1,500個/月を生産できるため、(1,500-1,000)×@1,000=500,000円の売上増加が見込めるなどがこれにあたります。


融資を申し込むときには、このように資金の種類に応じて、返済財源やその根拠を説明できる必要があります。

7.事業計画書に説得力がある

企業の融資の可否を判断する上で、「その企業の財務内容がどうなのか?」は大きなポイントですが、事業計画の内容が妥当かどうかもこれと同じくらい重要といえます。とくに、過去の財務資料がない創業融資の場合には、事業計画書が審査の中心となります。


銀行に納得してもらえる事業計画書を作るためには、主に以下の点に注意が必要です。


・借入れの目的と用途が妥当であること。

・間違いなく返済ができる利益を出せる計画となっていること

・計画全体について、整合性や信ぴょう性があること

・以上のことを証明できるエビデンスがあること


これらのどれか一つでも欠けていたり、不十分な計画の場合は、融資額の減額や融資のお断りにつながりやすくなります。

8.税金、社会保険料等の滞納が全くない

政府系・民間を問わず、税金などの滞納がある場合は、融資は難しくなります。

また、税金等だけでなく、家賃・光熱費・各種ローン(住宅ローン含む)について、過去6ヶ月~1年の間に支払いの遅れや未納がある場合も、厳しく見られます。


ただし、支払いに遅れがあってもその日数が短い場合や、納税について税務署との分割の協議ができている場合などは、問題とならないケースもあります。

9.銀行が申込先の事情に精通している

銀行が申込み先企業の状況を十分に把握できている場合は、その分、融資がされやすくなります。

とくに、その企業に特殊な技能がある、大手からの発注をうけている、特許を取得しているなどの事情がある場合には、融資審査でも高く評価されます。

連帯保証人・担保不要の動きの中で銀行融資に担保や保証人は必要?

銀行から融資を受けるときに、その企業の信用力や返済力が十分でない判断された場合には、担保や保証人を求められることがあります。

融資において銀行には、確実にその資金を回収するための措置(保全)をすることが求められるため、担保や保証人が用意できない場合には、審査はその分厳しいものとなります。


しかし、これらの用意ができない場合でも、信用保証協会の保証をうけることができる場合には、問題なく融資を受けられます。


なお、最近では民法の改正により、第三者の保証人を求めることについての制限ができたため、以前より第三者の保証人を求められることが少なくなっています。また、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、申込人が法人の場合は代表者が連帯保証人とならなくてよいという特例も用意されているため、この制度を利用することもおすすめです。

銀行融資で審査期間はどれくらいかかる?

銀行の融資では、融資を申し込んでから次の程度の時間がかかります。


(2回目以降の融資の場合)

申込み~資金の振込み 10~20日程度


(創業融資、初回の融資)

・申込み~金融機関との面談 7~10日前後

・面談~金融機関からの結果連絡 2週間前後

・結果連絡~融資契約 7日~10日前後

・融資契約~資金の振込み 1週間前後


以上のように、2回目以降の融資では短期間で振込みまでが行われます。

しかし、創業融資や初回の融資の場合は、申込みから結果の連絡があるまでおよそ1ヶ月ほどの時間がかかる他、振込みまではさらに半月程度の時間がかかることにご注意ください。


なお、審査の期間は、申し込みの時期や融資の種類によっても異なります。

お盆やG.W、年末・年始、銀行の決算期前後などは、通常より時間がかかりやすくなります。また、手形割引のような形式的要素の強い融資は比較的に短期間で融資がされますが、証書貸付の場合にはそれよりも長い時間が必要となります。

銀行融資で審査期間が長くかかるケース

創業融資を申込みした場合

創業融資では、申込み~融資が振り込まれるまで約1ヶ月~1.5ヶ月の時間がかかります。

なお、政府系の創業融資には、日本政策金融公庫と制度融資の2種類がありますが、どちらも審査期間には大きな違いはありません。

決算書が赤字または債務超過の場合

決算書の財務内容が赤字や債務超過の場合には、融資が難しくなります。

これらの場合には、財務内容や今後の対策に関する詳細な説明を求められることが多く、また、審査も慎重に行われるため、その分、時間が長めになりやすくなります。

無担保なのに融資申込額が大きい場合

無担保の融資の場合には、銀行のリスクが大きくなるため、通常よりも審査が慎重となることから、時間がかかりやすくなります。

他社借入額が大きい場合

他社からの借入れが多い場合には、他社分の借入理由や返済額、返済原資などを審査しなければなりません。

また、他社については担保や保証人があるのに、自社が無担保の場合は、いざというときの優先順位なども考慮した上での融資となるため、審査に時間がかかります。

支店決済案件でなく本店決済が必要な場合

融資の額が大きい、複雑な案件であるなどの場合には、支店長の権限だけで決済をすることができません。

このような場合には、支店決済後に本店の融資審査部でも決済を得る必要があります。

案件の内容にもよりますが、本店での決済には2~3週間以上の時間がかかることが多く、そのためこのようなケースでは通常の融資より審査の時間が長くなります。

 まとめ

銀行融資では、一定の基準にしたがって審査が行われるため、審査のポイントを理解し、それに沿った対策をすることで、より融資を出やすくすることができます。とくに企業の財務内容や格付けは、審査に大きな影響を与えますが、これらについての対策は一朝一夕にはできないものが多いため、時間をかけて行わなければなりません。


また、あらかじめ融資の審査にどの程度の時間がかかるかを把握しておけば、取引の支払いや設備の購入などにも、余裕をもって対応することが可能となります。


ただし、審査期間は、融資の種類や申込人の状況によっても変わるため、詳細については銀行や専門家に相談することをおすすめします。

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この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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