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適切なKPIマネジメントとは?企業活動におけるKPIの重要性をその基礎から詳しく解説します

皆さんは「KPI」という言葉をご存知でしょうか?KPIとは、企業内において最終的な目標を達成するためにおかれる中間的な指標です。これを活用することで、目標達成までの道筋がわかりやすくなるとともに、計画の方針を明確にすることができるため、最近、多くの企業で導入されています。この記事では、KPIの意味となぜKPEが必要なのかや、その使いかたについてご説明します。

KPIとは?

KPIは目標に対するアプローチをする上で、重要な役割を果たすものですが、十分な効果を出すためにはKPIへの正しい理解が必要となります。

KPIマネジメントの定義

KPIとは、「Key Performance Indicator」の頭文字を取った言葉で、「重要業績評価指標」を意味します。

具体的には、組織の目標を達成するために重要な中間の指標となります。

この指標を設定することで、過去の数値との比較・分析をし、目標への達成度を測るとともに、必要な改善点の発見などにつなげることができます。


また、KPIマネジメントとは、このKPI取り入れた取り組みで、目標達成に至るまでのプロセスを先行して管理し、生産性を向上させるための手法となります。


KPIマネジメントでは、以下のプロセスにしたがって業務のマネジメントを行っていきます。

・会社や組織の目標にもとづきKPI目標を設定

       ↓

・KPI目標を指標として業務を遂行

       ↓

・成果の検証と振り返り、KPIの見直し

        ↓

・あらたなKPIの設定、改善策の実行

KPIマネジメントが必要とされている背景

現在の日本では、KPIマネジメントによる一人当たりの生産性の向上が求められていますが、それにはつぎのような理由があります。

企業を取り巻くビジネス環境が複雑化している

近年においては、IT技術の進展はめざましく、とくにAIやIoTといったIT技術を使うことで、従来は職人にしかできなかった作業をロボットに代行させることも可能になりつつあります。


また、これまでは中小企業が多額の設備投資を必要とする多額のITシステムを導入することは、資金的にも技術力的にも困難でしたが、最近ではクラウドの活用などにより少ない投資で、簡単に高度なITシステムを導入することが可能となっています。


このように、IT技術の高度化とクラウドの普及により、中小企業でも効果の高いシステムを簡単に導入できる環境となったことが、より中小企業の生産性の向上が求められる要因の一つとなっています。

企業の生産性向上が急務なこと

現在、日本では少子高齢化の進行による労働人口の減少が急速に進んでいます。

生産年齢人口(15歳から64歳)が、1995年をピークに減少し続けており、2015年に7,592万人だった生産年齢人口は、2030年には6,773万人、2060年には4,418万人と、加速度的に減少していくことが予想されています。


このことは現役で働ける人口が減少しているというだけでなく、国際的な競争力の低下を意味します。

実際、日本の名目労働生産性、実質労働生産性はともに、主要国の中では最も低い水準にあり、とくに、飲食サービス業の実質労働生産性の水準は、主要国の中で最も低いという状況となっています。


このような現状を打破するため、少ない労働力で多くの成果を出す「生産性の向上」が求められています。

企業の雇用人材が多様化していることに対応するため

最近では、従来の終身雇用に加えて、フレックスタイム制度や在宅勤務制度、短時間正社員制度など働き方が多様化しています。

これにともない、長時間労働の是正や有給休暇取得の促進など、ワークライフバランスを実現し、働きやすい環境の整備が求められています。


また、従業員の働く意識も大きく変化しており、このような人材や働き方の多様化がKPIマネジメントによる生産性向上が必要とされる理由の一つとなっています。

KPIマネジメントの実行で理解しておきたい関連用語や使い方

KPIマネジメントを実行していく上では、関連する重要な用語がいくつかあります。

以下では、その代表的なものについて解説します。

KGI

KGIの意味

KGI(Key Goal Indicato)は、ビジネスの最終目標を定量的に評価するための指標です。

「重要目標達成指標」を意味します。

企業がKGIを活用するときには、長期的な目標について設定されることが多く、数年単位での目標を示すために使われています。


例えば、ある企業の昨年度の販管費が800万円だった場合に、今年度については10%減の720万円にすることを目指そうと決めたとき、「720万円の販管費」が今年度のKGIとなります。


ただ単に「ムダをなくして販管費を削減しよう!」では、実際に目標値がどの程度なのか、また、どのように動けばよいかがわかりません。

しかし、数値目標を決めることで具体的な方向性をもって動き出すことができます。

■KPIとの違い

KGIはビジネスの最終的な目標を表すものであるのに対し、KPIはその途中のプロセスの達成度を示すものです。

いわば、KGIを達成するまでの中間指標といえます。


先程の例でいえば、販管費10%の削減という目標を達成するために「社用車の利用を20%減らす」、「業務の内製化をすすめて外注費を15%削減する」などといった、最終目標達成のために取るべき個別の指標となります。

このようにKPIを設定する意義は、「KPIが設定されることで目標が明確になり、それに向けた行動がとりやすくなる」ということにあります。


大きな目標だけを決めても、どのようにアプローチすればよいのかがわかりにくいものです。

しかし、KPIというそこに行きつくための小さなポイントを決めておくことで、それが中間目標となるだけでなく、モチベーションを上げることにもつながります。

CSF

CSFとは「Critical Success Factor」の略で、「重要成功要因」を意味します。

最終的な目標を達成する上で、最も重要な要因のことです。

KGIに最も貢献する成功要因とも言えます。

これが明確でない場合には、どこに注力すればよいかがわからず、効率的な運営がしづらくなってしまいます。


CSFはKPIとKGIを繋ぎ、目標達成プロセスを明確化するための重要な役割をもっています。

例えば売上げを増やすためには、顧客数や購入単価、購入頻度を上げていく必要がありますが、そのうちの顧客数を増やすには新規顧客を増やすだけでなく、既存顧客数を維持することも重要となります。

この2つが達成できてはじめて顧客数を増やすことができるわけですが、この場合の顧客数がCSFとなります。


この関係を表すと次のようになります。

K G I  - C S F  - K P I

売上げ  - 顧客数  -   新規顧客数 既存顧客数

つまり、「CSFはKGIを達成するために優先すべき指標であり、KPIはCSFを達成するための指標」ということができます。

■CSFを設定する理由

CSFを設定する理由としては、次のようなものがあります。


①KPIとKGIの関連が明確になり、目標へのアプローチがよりしやすくなる

実際の作業においては、達成すべき目標やアプローチが複数あるため、最終目標に至るまでの工程は複雑になります。

そのため、CSFがないと小さな目標と最終目標とに乖離が生じ、その間をどのようにつなげばよいかがわからなくなるという問題が生じます。

小さな目標だけを積み上げて最終目標を達成するのは困難ですが、中間目標であるCFSかあることで、ゴールへの道筋がわかりやすくなります。


②CSFを設定することで、現状の把握や分析がしやすくなる

目先の目標だけを追いかけていたのでは、進んでいる方向が間違っていてもなかなか気づくことができません。

また、最終目標にたどり着くまでに長い時間が必要となり、モチベーションも下がってしまいます。


しかし、適切なCSFを設定することで、現在行っている作業がどのポジションに位置するのかが明確となるとともに、これまでの結果や今後何をすべきかが明確となるため、最終的な目標への取組みが容易となります。

PDCA

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字をとったもので、この工程を繰り返すことによって、生産管理や品質管理などを改善していく手法です。


Plan:計画する

PDCAのP(Plan)とは、目標の設定と計画を作成する段階となります。

「誰が」「何を」「なぜ」「どれほど」「いつまでに」「どのように」を意識して作ることが重要となります。

この段階では「現実的に実現が難しい計画としない」、「数値などを入れた具体的な目標とする」などがポイントとなります。


Do:実行する

PDCAのD(Do)とは、Pの段階で立てた計画を実際にやってみる工程です。

この時に重要なのが、実行の経過や結果を記録しておくということです。

こうすることで、後日における振り返りが容易になるとともに、以降のプロセスで原因を見つけやすくなります。


また、一度にすべてを行うのではなく、はじめは小さく試すということも、大きな失敗をしないために必要です。


Check:評価する

PDCAのC(Check)とは、計画と実行のプロセスについて評価をする段階です。

とくに、結果についての評価をする場合には、はじめに立てた目標に対して期限内にどの程度の達成ができたかを進捗率を表示するようにすると、結果が把握しやすくなるためおすすめです。


また、結果だけを見るのではなく、「なぜそうなったか?」を合わせて考えることにより、評価やその後の改善で役立てることができます。


Action:改善する

PDCAのA(Action)とは、実行した結果を分析し、業務の改善を行う段階のことです。

これまでのプロセスで明らかとなった問題点を改善し、そのうえでさらに新たな目標を設定し、再びPDCAサイクルを回していくこととなります。

■PDCAサイクルを上手く回せない場合

PDCAサイクルは、計画から改善までを一つのサイクルとして捉え、すすめていく優れた手法です。

しかし、これを実行していく中では、「うまくPDCAを回せない」、「思うような成果が出ない」ということもあります。

このような場合には、次の点に問題が生じていないかを確認してみてください。


・「計画」を完璧にしようとしすぎている

プランを立てるときに完璧なものを作ろうとして、時間をかけすぎたりしていないでしょうか?

できるだけよいプランを作ろうとするのは悪いことではありませんが、そればかりに時間をかけてしまうと、なかなか前に進むことができません。

また、プランの作成に時間をかけすぎると、状況の変化に追いつけなくなってしまう可能性もあります。


したがって、計画は8割程度の完成度であっても、早く取り組んで結果を出すということが重要です。


・問題の原因を把握できていない

うまく結果が出ないという場合は、「Do」の部分に問題がある可能性もあります。

多くの場合、「Do」がうまくいかない理由としては、「正しい方法で作業等ができていない」ことや、「部分的にボトルネックとなっている工程がある」などが考えられます。

また、プラン自体が無理な内容となっていることも少なくありません。

いずれにせよ、工程の中でうまくいかない原因が何かを見つけることが急務となります。


したがって、このような場合には、問題となっている点をひろい出し、再度見直しをするということが効果的となります。


・チェックが適切にできていない

チェックがシッカリとできていない場合には、問題点をそのまま放置してしまうこととなります。

どんなに他の工程がうまく回っていても、問題点を見過ごしていたのでは、最終目標の達成ができず、ケースによっては大幅なやり直しをしなくてはならなくなります。

正しいチェックをするためには、まずはチェック項目自体に間違いや抜けがないかを確認することが必要です。


・改善策が妥当なものでない

Actionは、これまでの流れにもとづき評価や改善をしていくパートとなります。

しかし、評価をしただけでは作業はその先に進みませんし、また、有効な改善策が打ち出せない場合には、計画がそこで止まってしまいます。

改善策を作る際によくありがちなのが、目先の問題に固執して、本来の目的を忘れてしまうということです。

なぜ、その作業が必要なのか、そこで求められているのは何かということを始めに立ち返って考えてみることも必要です。


また、専門外の意見を聞くというのも、気づきを得るきっかけとなります。

トップダウン・ボトムアップ

トップダウンとボトムアップは、どちらも、企業の方向性を決めるときの決定の方法です。

トップダウンとは、経営者や担当役員が将来的な方針を決定し、それを指示することで、社員へと伝達していくものとなります。

トップダウンのメリットは、意思決定の速さにあります。

トップが決めるので、意思集約のための時間が必要なく、また、実行の過程において横やりが入ることも少ないため、計画をスムーズに進めることができます。


しかし、少人数での決定となるため内容が独善的となりやすく、改善案などが受け入れられにくい、正しい評価がしにくいといったデメリットもあります。


一方、ボトムアップについては、全体により集約された意見にもとづいて行うため、作業に携わる人の納得が得られやすい、課題が組織全体に共有される、社員の意見が反映されやすいなどといったメリットがあります。


しかし、決定までに時間がかかる、責任を持って行動する人間が現れにくくなる、一部の力のある社員の意見が通りやすくなるなどといった弊害があります。

KPIはできるだけひとつに絞り込む、また全員が見える形で

KPIは目標の達成度合いを管理する重要な数値項目ですが、その設定方法にミスがあると効果的な目標達成は難しくなってしまいます。

そのため、KPIを最大限に活用するには、その活用方法を知る必要があります。


KPIを設定するうえで、重要なこととして、「取り組むべき課題を絞り込む」ということがあげられます。

KPIの数が多かったり、設定が複雑だと、社内全体でこれを共有しにくくなり、検証もできづらいものとなります。

また、達成にかける労力や時間も分散してしまうことから、思うような効果を上げられないということにもなりやすくなります。

したがって、KPIを設定するときには、できるだけ課題を絞り込み、明確にすることで、集中して時間やリソースを投入する必要があります。


また、KPIの設定をする際には、その目標が全員で共有できる形になっていることも大切です。

そもそもKPIを設定する目的は、企業の重要な経営目標であるKGIの達成であり、KPIはその中で、グループレベルに細分化した数値目標となります。

そのため、KPIを達成する目的や達成に向けた意識が共有されていないと、アプローチや評価もバラバラなものとなってしまいます。


KPIを共有化するには、KPIツリーを作成するのが有効です。

KPIツリーとは、KGIやKPIを樹形図のように表示したものですが、これによりKPIのKGIやKSF相互の関係を視覚的に理解することができ、情報の共有化がしやすくなるだけでなく、目標に向けた意思統一が容易になります。


このようにKPIの精度を高めるには、できるだけ目標を絞り込んだうえで、KPIツリーなどを使って目標やそれに至るまでのプロセスを共有するということが重要となります。

複数のKPIを設定したときに起こる弊害とは?

KPIは目標へ至るまでに達成すべきマイルストーンの役割を果たしますが、利用の仕方によってはいくつかの弊害を生じることもあります。

複数のKPIを設定すると結果の検証ができにくくなる

上記でも説明したように、KPIはできるだけわかりやすい形で絞って設定することが効果的です。

もし、KPIの数が多すぎるような場合には、達成が難しいものとなるだけでなく、結果の検証が困難となります。


KPIについてもPDCAのサイクルを回ししつつ進めていく必要がありますが、実行や検証がしにくい場合には、作業がそこで止まってしまいます。

したがって、KPIを設定するときには、その重要度を考えつつ、できるだけ設定する数を減らす、項目をシンプルにするなどして結果の検証がしやすいものとする必要があります。

KPIマネジメントが行き過ぎて従業員が混乱したり、ネガティブな行動を引き起こす

KPIは適切なマネジメントにより進める必要がありますが、あまりマネジメントにこだわりすぎると、それを実行する社員が何を重視すべきなのかや、本来の目的を見失ってしまいがちとなります。

また、管理することばかりに注力すると、社員からは単なるこなすべき数値と捉えられ、やる気を削ぐ、積極的に取り組もうとする意欲を失わせるということになってしまいます。


KPIの達成のためには適切な管理は大切ですが、行き過ぎたマネジメントは、単なる管理目標となり、社員の混乱やモチベーションの低下の要因となるため注意が必要です。

競争環境や事業戦略等が急に変化してもKPIが弾力的に対応できない

KPIの内容があまり硬直的なものである場合には、競争環境の変化や戦略の変更があった場合に、弾力的に対応ができなくなってしまいます。

また、何らかの変化があったときに、その影響が全体に及ぶような構成となっている場合には、大きな見直しが必要となるだけでなく、最悪、計画そのものの作り直しということにもつながります。


とくに外部的な要因による変化については、自分でコントロールすることができないため、ある程度、事前にそのようなリスクも考えつつ、いざというときに柔軟に対応できるような設定をすることが大切となります。

まとめ

KPIはKGIを達成するための指標です。

KPIを設定することにより、最終的な目標の達成がしやすくなる、社員の意識の共有化が図れるなどといったメリットがありますが、あまりKPIの設定だけにこだわると、KGIというさらに大きな目標が見えづらくなったり、社員の意識の低下を招くこともあります。


KPIの設定をする際には、「なぜ、それが必要なのか?」、「最終目標に対してどのような効果があるのか?」ということを念頭に置き、それぞれについてPDCAを回しながら管理・検証していくことを心掛けましょう。

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この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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