起業を考えている人にとって一番頭を悩ませることは資金調達だと言われています。企業としての信用が未知であるがために金融機関の融資を利用することが難しいと考えている起業家も多いようですが、実際には起業を考えている人、起業後間もない人が利用できる融資制度があります。今回は、特に日本政策金融公庫、女性・若者の起業家に絞った融資制度を紹介します。
日本政策金融公庫はどんな金融機関?
日本政策金融公庫とは、一般の金融機関とは少し異なり、財務省所轄の特殊な金融機関になります。中小企業の経営者や農林水産に従事している人の資金調達を助けることを目的とした金融機関です。この役割の他にも大規模な災害の時や感染症が大流行するなどして金融が混乱した時に、日本国内の金融システムがスムーズに作動するように金融機関を助ける役割も担っています。
日本政策金融公庫は、沖縄県を除く全てのエリアが営業エリアとなっています。また、沖縄県では沖縄振興開発金融公庫が機能しています。ほぼ全国の各都道府県に1店舗以上店舗があるので電話相談、窓口相談の際にも安心です。
中小起業の経営者にとって強い味方の日本政策金融公庫には業種や貸付金の使途などによって様々な融資制度があります。どの融資制度も業種や事業規模や従業員数などによって利用できる人の条件が異なります。
日本政策金融公庫の融資事業
日本政策金融公庫の融資事業は、国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業の3つに分かれています。
◆国民生活事業の融資制度・・・小企業や個人事業主向けの小口融資で、平均融資額は約700万円、短期の運転資金も融資が可能です。
◆中小企業事業の融資制度・・・中小企業向けの長期融資のみの取扱いで、短期運転資金の融資の取扱いはありません。平均融資額は約1億円です。
日本政策金融公庫の融資事業「女性、若者/シニア起業家支援資金」
また、日本政策金融公庫では女性・若者、シニア層の起業家への融資に特化した「女性、若者/シニア起業家支援資金」という融資制度が国民生活事業と中小企業事業に設けられています。
女性、若者/シニア起業家支援資金【国民生活事業】
まず、国民生活事業の女性、若者/シニア起業家支援資金は、新たに起業する際か起業してから7年以内の女性、もしくは35歳以下か55歳以上の人が対象です。融資資金の使途は、起業するための資金や起業後に必要な資金です。例えば、土地の取得費など、具体的な資金使途によって金利が異なります。他にも、担保の有無や返済期間によっても金利が変わります。融資限度額は7,200万円でその内運転資金の限度額は4,800万円となっています。
女性、若者/シニア起業家支援資金【中小企業事業】
一方、中小企業事業での女性、若者/シニア起業家支援資金も同様に起業後7年以内の女性、もしくは35際以下か55歳以上の起業のための融資制度です。融資限度額は直接貸付の場合、7億2千万円、内運転資金は2億5千万円、代理貸付の場合は1億2千万円となっています。
「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利率
「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利率は、日本政策金融公庫での他の融資制度の中でも低いと言われいて、下記のような形で利率が適応されます。さらに担保が必要、不要でも利率が変わってきます。
●運転資金・設備資金【特利A】
●技術やノウハウ等に新規性が見られる方の運転資金・設備資金【特利B】
●土地取得資金【基準利率】
【担保必要の場合】
基準利率 | 特別利率A | 特別利率B |
1.16〜2.35 | 0.76〜1.95 | 0.51〜1.70 |
【担保不要の場合】
基準利率 | 特別利率A | 特別利率B |
2.06〜2.65 | 1.66〜2.25 | 1.41〜2.00 |
>>>日本政策金融公庫HP「女性、若者/シニア起業家支援資金」
起業家に優しい日本政策金融公庫
日本政策金融公庫では、様々な融資制度があります。「女性、若者/シニア起業家支援資金」を申請する際にも、震災の影響で離職し新規事業を開業する場合には貸付金利が優遇される場合があります。
メガバンクや地方銀行など、個人取引している金融機関にも融資制度はありますが、起業して間もない企業には信用が無いため融資の利用が難しいのが現状です。しかし、日本政策金融公庫の融資制度は起業したばかりの人や、創業前でも利用できる融資制度が揃っているので、起業家が多く利用しています。
また、日本政策金融公庫の融資では、第三者の保証がいらないということも利用するメリットの1つです。日本政策金融公庫も他の金融機関同様、融資制度の申し込みの時には事業計画書などの必要書類を提出し、日本政策金融公庫の審査を受け、審査に通れば融資を受けることができますが、他の金融機関に比べて審査結果が早く出るとも言われています。
女性・若者の起業したい人向け相談会
日本政策金融公庫では支援金の他にも、女性・若者の起業に関心のある人を対象とした相談会を行っています。会場によって日程が決まっていますが、具体的な計画を立てる以前の相談にも乗ってもらえたり、専門家と一対一で個別相談ができたりすることが過去の相談会出席者からは好評を得ているようです。
なお、相談会に間に合わなかったり、都合が合わなかったりする場合でも、日本政策金融公庫では「創業ホットライン」という事業資金相談のフリーダイヤルを設けています。そのため、随時相談に乗ってもらうことができ、安心でしょう。
■事業資金相談ダイヤル TEL:0120-154-505(受付時間:平日9時〜17時)
※創業ホットラインの番号は0を選択してください。
その他にも、日本政策金融公庫のホームページには、融資事例が掲載されていたり、各都道府県のセミナーや相談会の情報も載っていたりします。各都道府県で開催されているセミナーなどは不定期に開催されるため、日本政策金融公庫のホームページで有益な情報が無いか常に確認することが大切です。
夢の実現のために
世界中で女性や若者の活躍がめざましい昨今。日本でも女性活躍推進法の下、行政と民間が一体となって女性や若者の活躍をサポートする制度がたくさんあります。資金調達に頭を悩ませながらも、自分のやりたい仕事を自分の手で全てを一から創っていく夢を実現するために、起業家支援に力を入れて取り組んでいる日本政策金融公庫を活用して、夢の実現につなげてください。