個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける時、どのような書類が必要かご存知ですか。あらかじめ必要書類を把握していると、手続きの時に焦らないでしょう。また、融資の審査に通りやすい書類を作成することも大切です。さらに、開業前や開業後すぐの時と開業後数年たった後とでは、融資の種類や必要書類が異なります。それぞれの種類ごとにご説明しますので、参考にしてみてください。
開業前後の融資に必要な書類とは?
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける場合、開業する時は「新創業融資制度」が利用できます。新創業融資制度は、開業前もしくは決算が2期を終えていない場合が対象で、提出する書類は約12種類です。
創業融資に必要な書類【個人事業主】
(1) 借入申込書
(2) 通帳コピー(直近6か月分) (3) 事業計画書 (4) 支払明細書(借入金のある場合) (5) 不動産の賃貸借契約書(店舗・自宅分) (6) 営業許可書、資格または免許を証明するもの (7) 見積書、工事請負契約書(設備投資をする方のみ) (8) 運転免許書コピー (9) 関連企業の確定申告及び決算書(別で会社を経営されている方のみ) (10) 印鑑証明書 (11) 代表の自宅分の水道光熱費の支払い状況がわかる資料 (12) 個人の源泉徴収表又は確定申告書2年分 |
創業融資に必要な書類の補足や注意点
(1)借入申込書
「借入申込書」には、代表者や住所などの基本的な情報を記載します。希望する返済期間や返済日・利用する銀行名を書くことも必要です。
資金の使い道では、該当する欄に丸を付け、運転資金と設備資金の内訳を記入します。
(2)通帳コピー(直近6か月分)
直近の6ヶ月分がわかる「通帳コピー」も用意します。なお、結婚している場合、配偶者の通帳コピーを一緒に提出すれば、融資審査で有利になる可能性が高いです。
(3)事業計画書
「事業計画書」は融資の審査で、とても重要になります。事業計画書には、創業目的や代表者の経歴などを記載します。フォーマットは4行分しかないので、伝えたいことをまとめてから書くようにしましょう。
もし、書きたいことが多い場合は、別紙に書いて添付することも可能です。「なぜ、この事業をしたいのか」「実現させたいこと」「現在の見込み客」などを書きます。具体的な数字を書くのも効果的です。例えば、「前職での営業成績は200人中2位でした。」などと書けば、審査官がイメージしやすく、実績を伝えることができるでしょう。
(4)支払明細書
借入金がある場合は「支払明細書」は、毎月の支払額や借入残高が分かるものが必要です。
(5)不動産の賃貸借契約書
不動産を借りる時は、「賃貸借契約書」も提出します。もし、店舗を仮押さえしている場合には、借りる物件の契約条件が分かるものを用意しましょう。
(6)営業許可書・資格や免許を証明する書類
業種によっては「営業許可書・資格や免許を証明する書類」が必要です。例えば、飲食店の場合は保健所で営業許可書を発行してもらいます。
(9)関連企業の確定申告及び決算書
仮に、その他に会社を経営している場合は、「関連企業の決済書と確定申告書」の準備が必要です。ただし、他の会社に所属していても、代表者でなければいりません。
(10)印鑑証明書
「印鑑証明書」も必要になります。印鑑証明書は役所で取得しますが、あらかじめ印鑑を登録しておかなければならず、交付申請時には、印鑑登録証や印鑑登録カードを持参しましょう。
印鑑証明書は、発行から3ヶ月以内のものを用意します。
(11)水道光熱費の支払い状況がわかる資料
「代表の自宅分の水道光熱費の支払い状況がわかる資料」では、水道やガス・電気などから2種類以上を選択し、それらの支払いが分かる資料を提出しましょう。ただし、期日後に支払っている場合は、審査での評価は下がります。
開業して1年以上7年未満の場合に必要な書類
開業して1年以上経過しても7年以内であれば、「中小企業経営力強化資金制度」の融資を申し込めます。開業前後よりも、必要書類は多くなるので注意しましょう。
(1) 借入申込書
(2) 通帳コピー(直近6か月分) (3) 事業計画書 (4) 支払明細書(借入金のある場合) (5) 不動産の賃貸借契約書(店舗・自宅分) (6) 営業許可書、資格または免許を証明するもの (7) 見積書、工事請負契約書(設備投資をする方のみ) (8) 運転免許書コピー (9) 関連企業の確定申告及び決算書(別で会社を経営されている方のみ) (10) 個人の源泉徴収表又は確定申告書2年分 (11) 売上の根拠資料(請求書や、通帳など) (12) 直近の確定申告書 (13) 所得税・住民税・消費税の領収書 (14) 直近の貸借対照表、損益計算書 |
創業時の場合は先ほど説明した通りの書類ですが、創業して1年以上経過し、融資を受ける場合は、上記(10、11を除く)加えて
「売上の根拠資料(請求書や、通帳など)」
「直近の確定申告書」
「所得税・住民税・消費税の領収書」
「直近の貸借対照表、損益計算書」
が必要になります。
「売上の根拠資料」として、通帳や請求書を用意します。税金を支払っている証明も必要です。加えて、「住民税・所得税・消費税納付の領収書」も提出しましょう。
なお、課税売上高が1,000万円以下の時や開業後2年以内は消費税が免除されるので、支払っていない場合は不要です。その他に、「直近の損益計算書や賃借対照表」も同封します。
創業融資と異なる書類「企業概要書」
開業前後の融資と異なる書類として、「企業概要書」があります。経営方針やセールスポイント・企業課題などを書くものです。記載する欄が少ないため、別紙に書いて添付しても構いません。
また、仕入れ先や販売先がしっかりしているかの確認をするため、それらの情報を記入する欄もあります。
例えば、一般個人を販売先にしている場合は、その地域の人口統計などを示す資料を添付してもいいでしょう。通行量調査を行い、その結果を提出するのも効果的です。平日と休日に分けて、その通りを歩く人数を記載します。性別や年代などの分析をすると、人通りの状況が分かりやすいでしょう。
必要な書類を把握し、日本政策金融公庫から融資を受けよう!
個人事業主が日本政策金融公庫の融資を申し込む時は、該当する制度があるか確認することが大切です。開業時だけでなく、開業後でも受けられる融資があります。また、新創業融資制度と中小企業経営力強化資金制度では、申込する時の必要書類が異なるので注意しましょう。これを参考に必要な書類を把握し、日本政策金融公庫からの融資を受けてください。