創業計画書と事業計画書は、似通っている部分こそ多いものの別物です。
内容はもちろん、提出する場面も異なるため、それぞれどのような違いがあるのかは押さえておきましょう。
特に事業計画書は、創業後も触れる機会のある計画書です。そこで、必要な資金を確実に調達するためにも、記入方法や作成する場面の違いなどを紹介します。
提出する場面の違いと求められるもの
細かな違いはいくつもありますが、一番の違いは事業計画書が創業時のみ提出するのに対し、事業計画書はすでに事業を起こしている方も記入する機会があります。
最終的には融資を目的とした計画書なので、目的は事業計画書と似通ってはいるものの、事業計画書ではより綿密な計画が求められます。
すでに事業が軌道に乗っている場合は、追加資金を求める機会もなく事業計画書は必須ではないかもしれません。しかし、事業計画書は現在の収益などをまとめる良い機会でもあります。
例え資金調達の機会が直近になくても、定期的に事業計画書のフォーマット通りに現況をまとめてみることで事業をより客観的に確認できます。
また、事業計画書はそれなりのロジックも求められます。事業計画書でも論理立てて収益の見込みがあることをアピールする必要がありますが、事業計画書では現状の売上状況や新商品を開発する必要性なども交えてアピールしなければなりません。なぜその資金が必要なのか、今後会社を経営していくうえでどう業績を上げていくのかを事細かに紹介する必要があるのです。
事業計画書は動機など熱意を買われることもありますが、事業計画書はそれだけでは資金調達は難しいのです。
https://scheeme.com/mag/plan_a2/
https://scheeme.com/mag/founded_a5/
事業計画書の記入項目
事業計画書では、基本的にフォーマットに従って記入していきます。フォーマットは日本政策金融公庫のホームページからダウンロード可能なので、まずはそちらを見てみましょう。
上から現況に関する記入項目、新商品や新役務に関する記入項目など、まずは何のために資金調達の必要性が出てきたのかを記入します。
また、経営上の課題項目にもチェックを入れていきます。この課題項目が、事業計画書との違いの一つと言えるでしょう。
IT化の遅れや管理者層の育成など、会社運営するにあたって時代の流れに乗れているのか、停滞していないのかがチェックされます。
ただチェックするだけでなく、右の自由記入欄に具体的な対策を書き込んでいく必要があるので、決しておざなりに書かず具体性のある内容を考えましょう。仮に資金調達をしなくても、将来に向けて経営の指針をもう一度見直す良い機会になるはずです。
次に、業績推移など詳細なデータを記入していきます。どれもきちんとした資料がなければ記入できない内容ばかりなので、経営の現況が一目瞭然となります。創業当時はこれらデータが存在しないため、ここまで事細かに書き込む必要はありませんが、事業計画書ではそうもいきません。
売上に対する根拠、過去の実績を元にした売上見込など、細かい数値を持ってアピールしなければならないのです。借入先が銀行の場合、なおさら追加資金を得るためには必要なデータになります。銀行に対してアピールポイントとなるのは、熱意よりも確実性のあるデータです。きちんとデータを把握し、現在の課題を見据えているかが焦点になるでしょう。
事業計画を役立てるプレゼンテーション
事業計画書は、提出して終わりとはいきません。あくまで銀行など融資を受ける対象から信頼を得るためのツールであり、事業計画書が完成してようやくスタートなのです。
そのため、事業計画書を用いたプレゼンテーションやアピール技術も磨かなければなりません。事業計画書に書かれている内容について突っ込まれたり、より専門的な質問をされても狼狽えずにしっかりと答えられる入念な準備が必要になるのです。
また、このしっかりとした答えを支えてくれるのが上記で紹介した各データ群です。市場規模や商品開発に関わるデータなど、プレゼンテーションに役立つデータを集めて頭に入れていれば狼狽える可能性を低くできますし、資金調達がグッと近づきます。融資する側にとっても、曖昧に答えを用意されるよりデータに基づいた紹介をされた方がはるかに安心できるのです。
また、完璧な質疑応答は、ほぼほぼできません。自分たちだけで気付けることには限界がありますし、不意の質問を受けるかもしれません。入念なリハーサルを行うことで耐性を付けておきましょう。ぶっつけ本番では緊張してうまく説明できなかったり、頭からデータが抜け落ちる可能性があります。
他にも、遠回しな回答で煙に巻こうとしたり、はっきりしない回答を繰り返していてはせっかく作成した事業計画書が無駄になりかねません。今すぐに答えられない質問は一旦持ち帰り、再度検討しましょう。融資する側は代表者の態度も見ています。いかにも慌てて受け答えしていたり、自信なさげにしていては融資する気も失せてしまいます。質問には即答し、なおかつ疑念はなるべく晴らすことで、お互いに満足のいくプレゼンテーションを行いましょう。