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日本政策金融公庫の融資は運転資金も融資の中に含んでくれるのか?

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日本政策金融公庫(国金)では中小企業の資金調達を対象にした融資制度を数多く取り揃えています。その中からもっとも適した制度を選ぶことになるわけですが、その際に金利や融資額と並んで重要なポイントとなるのが用途です。とくに運転資金の調達を目的に公庫の融資を利用する際には融資対象となっているかや融資を受ける環境の確認が必須になります。

運転資金を対象としていない融資制度もある

日本政策金融公庫(国金)の融資制度の中には運転資金を融資の対象としていない種類もあります。中小企業の長期的な事業資金を目的とした「中小企業事業」では運転資金を目的に融資を受けることができないので注意しましょう。長期的・計画的に借りられるこの制度は中小企業にとって非常に便利な選択肢ではあるわけですが、資金繰りが厳しくなっているときの資金調達の手段としてはあまり適さないものであることを覚えておく必要がありそうです。

ただこの「中小企業事業」が運転資金を融資の対象にしていないからといって公庫から融資を受けることができないというわけではありません。運転資金も対象にした制度も多数用意されているのでその中から選んでいくようにしましょう。それぞれの融資制度ごとに融資限度額はもちろん、融資を受ける条件や金利の設定などに違いがあるので運転資金として利用できるかだけにとどまらず自分にとって都合のよい環境で利用できるかどうかの判断も欠かせません。

運転資金としても利用できる融資制度について

では具体的に日本政策金融公庫(国金)で運転資金も融資対象に含まれている制度にはどのようなものがあるのか、真っ先に挙げられるのが創業・開業関連の融資制度です。新規開業の際にはどうしても経営が軌道に乗るまでの2~3年程度は赤字を覚悟したうえで資金計画を練っていく必要がありますから、融資する側としても運転資金も融資に含めないと開業を支援するために融資した効果が中途半端になってしまいます。そのため公庫が用意している開業・創業関連の融資制度はすべて運転資金も用途に含まれています。

なお、この開業・創業関連の融資制度の中には創業後2期以上の税務申告を行っていない事業者でも利用できる種類もあるほか、創業ではなく新事業の立ち上げや新しい分野への進出を検討している場合にも利用できるものがあります。必ずしも新しく会社を立ち上げるときにしか利用できないわけではないので自分が申し込み条件を満たしているかどうかを確認しておくとよいでしょう。

それから企業の積極的な投資や事業展開をサポートすることを目的とした「企業活力強化貸付」でも運転資金が融資対象に含まれています。具体的には店舗の改築や増改築、機械設備の導入に必要な資金をおもな対象にした「企業活力強化資金」、情報化投資を行うための資金を対象にした「IT資金」、海外展開を目指すための資金を対象にした「海外展開・事業再編資金」、地域活性化、雇用創出にかかわる事業を対象にした「地域活性化・雇用促進資金」などの選択肢がまず挙げられます。ほかにも融資の種類があるので公庫の公式サイトで詳細を確認しておきましょう。

これらの融資制度の種類を見ても資金を使う用途がかなり具体的に定められたうえで融資が行われることがわかります。ですから運転資金として利用可能であっても自分が希望する形で融資を受けたお金を使うことができるかどうかが選んでいく上で非常に重要なポイントとなってきます。選択を間違ってしまうと運転資金として融資を受けた場合でもお金が必要なときに使うことができない、といったケースに陥ってしまいかねません。このあたりが公庫の融資制度を利用する上での最大のポイントといってもよいかもしれません。

限度額と返済期間も注意

このように日本政策金融公庫(国金)には運転資金も融資対象に含む制度が複数あります。そのため大事なのは運転資金として借りられる制度があるかどうかよりも都合に合った形で借りたお金を使うことができるかです。そしてこの点を確認する場合には必ず融資限度額と返済期間についてもしっかりチェックしておきましょう。基本的に融資限度額とは別枠に運転資金の上限が設けられているため、審査の結果によっては希望額よりも少ない融資額になってしまうこともあるからです。

たとえば先ほど触れた「企業活力強化貸付」と開業・創業関連の融資制度ではすべての制度において融資限度額が7200万円までと設定されているのに対して運転資金はそのうち4800万円までとなっています。つまり設備資金と併せて7200万円まで借りられるわけであって、運転資金目的で利用できる金額は4800万円が上限となるわけです。なお、開業・創業関連の融資制度の中で唯一「新創業融資制度」のみ融資限度額が3000万円まで、うち運転資金が1500万円となっているので注意しましょう。

もうひとつ確認が必要なのが返済期間です。運転資金目的で融資を受ける場合、設備資金で融資を受けるよりも返済期間が短くなっています。「企業活力強化貸付」と開業・企業関連の融資制度いずれも設備資金が20年以内なのに対して運転資金は7年以内に設定されています。たくさん借りられればよいわけでは必ずしもなく、この返済期間内で無理なく返済できる範囲内でどれだけ融資を受けることができるかも公庫の融資を受ける上で大事なポイントとなってくるわけです。

この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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