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日本政策金融公庫の面談での注意点、面接時の態度から質問内容まで詳しく教えます

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日本政策金融公庫の面談での注意点、面接時の態度から質問内容まで詳しく教えます|資金調達メディアScheemeMAG(スキームマグ)
日本政策金融公庫の創業融資では、審査の一環として必ず面談が行われます。面談で聞かれることの大半は、事業に関する基本的なことのためそれほど恐れる必要はありません。しかし、それでも面談で失敗してしまうと、その後の融資の結果に大きな影響を及ぼすため、事前の十分な対策が必要となります。この記事では、日本政策金融公庫の面談で聞かれることや質問への対策、気をつけた方がいい点などについて解説いたします。
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日本政策金融公庫の融資ではなぜ面談が必要なのか?面談の意義とは?

創業者には、その事業の経験や実績がないため、通常の企業のように決算書や財務資料などから企業の実力をはかることができません。
そのため、日本政策金融公庫では、これに代わるものとして、事業計画書の提出や、面談をすることで経営者の意欲や事業の見込みについての判断をしています。

つまり、金融機関にとっては、面談は事業の予測をする上での重要な判断材料といえます。
日本政策金融公庫では面談をすることにより、人物の人柄や事業に対する意欲、理解度などを確認しています。
しかし、面談で確認されることはすべて事業の基本的な内容であるため、自己資金の使いかたに問題があることが発覚した場合や、当然、知っているべきことに答えられないようなときには、それが原因で融資がされなくなってしまうこともあります。 
 >>日本政策金融公庫の融資を受けたい方必見!審査基準やポイントのまとめ

面談にかかる時間はどれくらい?

日本政策金融公庫の場合、通常、面談にかかる時間は30分から40分、長くとも1時間程度となります。
しかし、面談の内容に不審またはつじつまがあわない点がある、事業プランの内容が複雑で理解しにくいといったような場合には、さらに詳しく内容を確認され、1時間を超えて面談が行われることもあります。

面談の場所は、申し込み先の公庫の支店または事業者の本店のいずれかで行われるのが一般的です。
また、面談時の人数については、日本政策金融公庫側1名、事業者側1名で行われるのが普通ですが、ケースによっては公庫側の人間が2名となることもあります。

日本政策金融公庫の面談で必ず守るべきこと

日本政策金融公庫の面談で聞かれるのは、いずれも事業に関する基本的な事項ですが、 望ましい答え方や 面談時に守るべきことなどがあります。
中には、審査の評価に影響するケースもあるため注意が必要です。

面談の際には、以下のことに気をつけて回答することをおすすめします。

面接時の外見や言葉遣いに注意、面談相手に不快感を与えない

金融機関では、申込人の言葉遣いや服装も審査のポイントとして見ています。
そのため、外見が不相応に派手、多くの高額な装飾品を身につけている、高級な車を所有しているなどといった場合には、「きっと、事業でも金遣いが荒いのだろう」と判断されやすくなります。
あえてスーツ を着る必要まではありませんが、職業柄にあった清潔でさっぱりとした服装で望んだ方がよいでしょう。

また、言葉遣いについても、できるだけ常識的な対応を心がけましょう。
なお、ケースによっては、面談中に公庫の担当者と意見が食い違うこともあります。
しかし、このような場合でも、できるだけ冷静に自分の意見を伝えるようにします。興奮して暴言を吐いたり、担当者と口論になってしまうような場合には、ほぼ間違いなく審査に悪影響を及ぼしますので、このようなことは絶対に避けてください。

約束した時間の遅刻なども「時間にルーズな人」という印象を与えるので、しっかりと時間管理を行ってください。

事業計画書(含む創業計画書)の内容に沿ってきちんと答える

面談での質問は、原則、事業計画書の内容に沿って行われます。
そのため、事業計画書に書かれた内容についてはすべて答えられるのが望ましいといえます。
事業計画書に書かれた項目についての回答ができない場合には、「自分で作った計画ではないのでは?」と疑われてしまう可能性もあります。
そのため、ある程度何を聞かれても答えられるようになっておくのが望ましいといえます。

なお質問の中には、想定していなかったり、急に答えられないものがある場合もありますが、このような場合にはいい加減な回答をするのではなく、「あらためて調べた上で回答します」と答えれば、ほぼ問題とはなりません。

面談姿勢は弱気になりすぎず、強気にならず

面談では、応対のときの態度などもチェックされます。受け応えは、 できるだけ誠実に、歯切れよく行いましょう。

また、うつむかずに、しっかりと相手を見て答えるというのも重要なポイントです。
目を合わさずに下ばかり見ていると、「何かやましいことがあるのでは?」という印象を与えてしまいます。
逆に威勢を張っている、 強気な態度で臨むなども、「横柄な性格」や「誇張している」などととられやすいため慎んでください。

聞かれたこと対して的確に答え、無駄話はしない

たまに公庫との面談で、脱線して関係のないことばかりを話す人がいますが、面談で無駄話は禁物です。
担当者は限られた時間の中で面談をしているので、このような話は迷惑となります。
また、金融機関の人間は一見無駄話と思われることからも、相手の性格や事業に関する情報を読み取っているため、話の内容が本筋と違っている、矛盾しているような場合には敏感にそれを察知します。
そのため無駄話により、自分の評価を下げるということにもなりかねないため、面談では必要なことだけを答えるように心がけてください。 

面接官は相手の熱意を見ている、自信を持って受け答えすること

創業する場合に、その人にどれだけ事業に対する熱意があるかということは、事業の成否にかかわる重要なポイントとなります。
しかし、事業計画書だけでは、熱意が伝わりにくいだけでなく、公庫としてもそれを見抜くのは難しいです。
そのため、面談は熱意を伝えることのできる唯一の機会といえます。熱意の伝え方は人それぞれとなりますが、 ただ「頑張ります」や「絶対、成功させます」というだけでは、説得力のある熱意の伝え方とは言えません。

そのため、熱意を伝えるのであれば、次の点を踏まえて話すと効果的となります。 
自分の過去の経験や経歴をからめた事例などを使って説明する。
自分の過去の経験や経歴などを絡めた事例などで説明をすると、より説得力のある伝え方となります。
例えば「以前から料理に興味があったため、技術を習得するために専門学校に通いました」や「本場での味を学ぶため、イタリアへ留学しました」などのように、起業のためにどのようなことを実践してきたのかを伝えることができれば、高い評価になりやすいといえます。

すでに準備をしているとを説明して、意欲を伝える

テナントの契約や資材の購入、メニューの発注などをしている場合には、自己資金を使って準備をしているため、事業に対する熱意があると認めてもらいやすくなります。
また、お金をかけていない場合でも、チラシの原稿の作成や競合店の調査などといった準備をしていることがわかる場合には、好印象となります。

しかし、これとは反対に、何の準備や支払いもせずに、経費のすべてを融資で賄おうとする姿勢はすべて融資頼みという印象を与えるだけでなく、事業への意志が感じ取りにくいためできれば避けた方がよいでしょう。

資料などを使って論理的に話す

熱意を伝えるためには言葉で話すだけではなく、資料などを使って説明するのも有効です。

例えば、事業計画書の収支予定を作成するために準備したデータや、経費の根拠をまとめた資料などが用意できれば、さらに説得力を加えることができます。

日本政策金融公庫の面談で主に聞かれる項目

日本政策金融公庫の面談で聞かれる項目としては、以下のようなものがあります。
しかし、これらすべてのことが必ず聞かれるわけではなく、また、これ以外にも聞かれる可能性のある項目もあるため、あらかじめ自分の事業の内容にあわせて、どのようなことを聞かれるかを十分に対策しておくことをおすすめします。 

創業の動機

創業の動機は、これから行おうとする事業についてどれだけの意欲があるかを確認するために、ほぼ必ず聞かれる項目となります。
この創業の動機については、事業計画書でも記載していますが、その中で伝えきれなかった想いや意欲などを含めて、回答するようにしましょう。

なお、事業計画書に書かれた内容と異なる回答をするのはマイナスとなるため、できるだけ事業計画書の内容に沿ったものとなるように注意して下さい。

事業の経験があれば経営者としてそれをどう活かすか、経験がないなら何でカバーするか

創業融資で職業の経験があるか否かは、審査での重要なポイントとなります。
そのため、 十分な経験がある場合にはできるだけそれを前面に出すようにアピールしてください。
また経験の内容についても、単に「日本食の◯◯で◯年間、勤務していました」のような説明ではなく、「創業◯年でミシュランでも星をとったことのある老舗の◯◯店で、調理を◯年、仕入れを◯年行なっていました」のような答え方の方が、より効果的に経歴を説明することができます。

取り扱う商品・サービスの強み・弱み、他社との差別化など

取り扱う商品やサービスの強みなども、事業計画書に記載する項目ですが、面談でも改めて聞かれることが多いといえます。
取扱う商品については、具体的に2つまたは3つ程度のものをすぐ答えられるようにしておきましょう。

また取引については、「仕入先が確保できているのか?」、「販売先は具体的に想定できているか?」などについても聞かれる可能性があります。
さらに、掛けで販売をする場合には、 購入〜代金の支払い、販売〜代金の回収までの期間を聞かれることがあります。
日本政策金融公庫では、これによりどの程度の運転資金が必要となるのかをみているため、計画との整合性に注意してください。

サービスの強みや弱みについては、自分で考えているだけではなく、客観的に見て妥当と思もわれる内容となっていることが望ましいです。
例えば、「オリジナリティのある店を作りたい」といった場合に、具体的にどのようなオリジナリティを出したいのか?、どのような方法でそれを実現しようと考えているのか?などについても説明できるようにしましょう。

とくに事業の弱みについては、客観的な分析が不足しているケースが多いため、専門家からアドバイスをもらうなども検討しましよう。

自己資金について、どの程度準備しているか、貯め方など

自己資金をどのように貯めたかは、ほぼ必ず確認される項目といえます。
原則、公庫では、自己資金の入っている通帳を過去1年程度までさかのぼって確認し、どのように自己資金を貯めてきたかの経緯を見ます。
そのため、貯めた経緯に問題がある場合や資金の出どころが不明なときには、かなり深く追及されることもあります。

また、自己資金が貯蓄以外の場合には、退職金であれば退職金の支払い明細書、有価証券ならば直近の時価相場額、相続の場合には遺産分割協議書というように、出どころに応じて内容を証明できる資料を確認し、自己資金となるかどうかを判断します。

融資を含む資金調達の見込み

面談では、融資を含む今後の資金調達の見込みについても確認されます。 具体的には、「何にいくらぐらいの資金が必要と考えているのか?」や「日本政策金融公庫以外でも資金調達をする予定があるのか?」、「設備資金や運転資金の見込み額は妥当か?」などを聞かれる可能性があります。

資金調達の見込みについても、事業計画書にはあらかじめ資金の使い道や調達方法を記載しているはずですので、その内容とずれたことをいわないように注意する必要があります。
設備資金や運転資金の内容に問題があるような場合(資金額が多すぎる、不必要と思われるものが入っているなど)には、それぞれの内容についてさらに細かく確認されることもあります。 

なお、制度融資などの公庫以外の融資を利用する場合には、その事業計画書も求められることがあるため、その場合には、双方について整合性のとれた計画を用意しておく必要があります。
また、公庫と制度融資の両方を利用するときには、どちらか一方が否決となってしまうと、他方の融資も利用できなくなってしまうことがあることに注意してください。 
 >>日本政策金融公庫融資の返済期間はどれぐらいが一般的?

仮に事業がうまくいかなかったときの打開策について

公庫の面談では「もし、事業がうまくいかなかった時はどうするか?」ということを聞かれることがあります。
本来ならば、 当然、考えておかなければならないことなのですが、 意外と想定していない方が多いです。
しかし、これにしっかりと答えられないと、「リスクを考えていないのでは?」と思われてしまいます。
この質問に対しては、「頑張ります」などのような根拠のない回答ではなく、具体的な対策を含めて答える必要があります。

たとえば
・まずは、そのような事態にならないよう、目標の達成に向けて事業を進める。
しかし万が一、計画が予定通りに進捗しない場合に備えて、売上げの最低限界額を決めておく。
・もし、限界額以下の売り上げしか達成できない月が続き、手元のキャッシュが◯万円以下となった場合には、従業員を◯名削減するとともに、主力商品の見直しなどを行う。
・以上の対策を行っても売上げの回復ができない場合には、◯時〜◯時の間、外部で働き、その給与で返済する。もしくは、店舗販売からネット販売へ切り替え、家賃負担をなくし、さらに必要がある場合には先ほどと同様に、外部で働いた資金を返済に回す。
などの回答であれば、公庫の納得も得やすいといえます。

面談時に持参する書類・資料について

面談のときに持参する書類や資料については、あらかじめ公庫から指示がされます。
この際の資料としては、以下のようなものがあります。
・通帳
自己資金の入った通帳を用意します。
法人の場合には、法人口座の通帳と自己資金を貯めた代表者個人の通帳の両方を用意した方がよいでしょう。
なお、通帳は原則、原本を用意する必要がありますが、ネット口座の場合にはデータを印刷したものとなります。
また、 公共料金の引き落としがされている口座が別にある場合には、その通帳もあわせて提出します。

・事業計画書
事業計画書については、 申し込みの時に提出するケースと、面談時に持参するケースの両方がありますので、具体的には担当者の指示に従ってください。
なお、いずれの場合でも、事業計画書は面談の時に持参することをおすすめします。

・身分証明書
代表者の身分を証明する運転免許証などを用意します。

・法人の履歴事項証明書
法人の場合には、その法人の履歴事項証明書を用意します。

・不動産の賃貸契約書
テナントを借りて営業をする場合には、そのテナントに関する賃貸契約書の写しを用意します。
なお、この場合の賃貸契約書は、利用目的が「店舗」または「住居兼店舗」となっている必要があり、これが単に「住居」 となっている場合には融資の対象とならないことがあります。

・給与の支払明細書
これまでサラリーマンだった方については、給与の支払明細書の提出を求められることがあります。

・住宅ローンやその他借入れの返済表
住宅ローンやその他の借入れがある場合には、これまでの支払額や今後の支払予定の記載された返済表を提出します。 

・許可書等のコピー
営業をする上で何らかの許可や届出が必要な場合には、その許可証や届出のコピーを提出します。ただし、面談の時点でまだ許可書等が取得できていない場合には、「◯年◯月◯日許可申請済み」と報告すれば問題ありません。
面談の際の必要書類としては以上のものがありますが、具体的な内容は個人により変わります。

また、資料の漏れや持参忘れなどがあると、融資の審査が遅くなるだけでなく、担当者の評価を下げる原因となるためしっかりと確認しましょう。
  >>日本政策金融公庫創業融資の利用には何が必要か?申込み時と面接時の必要書類を詳しく解説

日本政策金融公庫の創業融資と追加融資での面談の違い

日本政策金融公庫では、創業融資や初回融資の申込みの場合には、必ず面談を行いますが、2回目以降の申し込みについては、原則として面談は行いません。

しかし、事業内容に変更が生じた場合や、本店の変更、代表者の変更などがあったときには、追加融資の申込みの場合でも面談がされることがあります。
追加融資だからといって必ず面談がないわけではないため、あらかじめ担当者に確認しておきましょう。

失敗しないための面談対策

いくら「面談は怖くない」といっても、はじめてされる方については不安がぬぐいきれないと思います。
また、あがり症の方などでは、わかっているのにうまく答えられないということもあります。
このような場合に有効なのが、ロールプレイによる事前の模擬練習です。

以下の項目を参考にし、問題なく答えられるか?、 伝え方は大丈夫か?などについて 事前に練習をしておけば、かなり自信を持って答えられるようになります。さらに、できれば、 その時の様子をビデオカメラなどで撮影して見直すと、より修正すべき点を見つけることができます。 

質問事項の例
・なぜ、この事業を始めようと思ったのか?
・自己資金はいくらなのか? どうやって貯めたのか?
・これからする事業の経験はどのくらいか?経験の内容はどんなものか?
・なぜ、その場所で営業するのか?
・主力となる商品は何か?そのシェアはどの程度を想定しているか?
・月の売上げや経費の額は、いくらくらいを予定しているか?
・取引先はどういう会社なのか?取引条件は?
・なぜ、計画通りの売り上げを達成できると思うのか?
・もし、計画通りにいかず、返済ができなくなったらどうするつもりか?
・営業に必要な許認可の見通しは?
・他の融資の申し込みはしているのか?

まとめ

日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金の確保や事業計画書の提出と同じぐらいに、面談の内容が重視されます。
面談で聞かれることは基本的に、事業計画書に書かれていることとほぼ同じものとなりますが、それだけにしっかりとした受け答えをすることが求められます。

また、その場しのぎのいい加減な回答や必要書類の提出漏れ、遅刻などは、担当者にはじめから悪印象を与えますので、極力、ないようにしてください。
なお、面談での成功率を上げたい場合には、事前に予想される質問についてロールプレイをしておくと効果的です。

この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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