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小規模事業者持続化補助金の要件と審査を通りやすくするためのポイント

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小規模事業者持続化補助金の要件と審査を通りやすくするためのポイント
「小規模事業者持続化補助金」は、創業者や中小企業が比較的手軽に利用できる補助金ですが、内容は一般型と低感染リスク型ビジネス枠に分かれているため、それぞれの目的や条件にあわせた申請が必要です。この記事では「小規模事業者持続化補助金」の申請の要件や採択されやすくするためのポイントについて解説いたします。
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小規模事業者持続化補助金の概要

「小規模事業者持続化補助金」とは、創業者や中小企業が自らの経営課題を見直し、それを改善するために行う取り組みについて補助されるものです。
しかし、小規模事業者持続化補助金には、その目的に応じて「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の2種類があり、それぞれで申請の条件や補助率が異なるため、その内容にあった申請をする必要があります。
「低感染リスク型ビジネス枠」に申込んでダメだったから「一般枠」にスライドして申込めるというものではありませんので、注意してください。

なお、以前に実施されていた持続化補助金【コロナ特別対応型】の公募は終了しました。

「小規模事業者持続化補助金」(一般型)の概要

事業の目的
本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画にもとづく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
具体的には、地域の商工会や商工会議所が担当し、計画の策定段階から指導員が伴走型の支援を行います。

補助金対象者

以下の一定の要件に該当する方が、本補助金の対象となります。
■ 次のいずれかの国内の小規模事業者であること
  商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
  サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
  製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下
■ 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合または 
  個人事業主(商工業者であること)もしくは一定の要件を満たした特定非営利活動法人
■ 商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること。
■ 持続的な経営に向けた経営計画を策定していること
■ 一定の事業において、受付締切日の前10か月以内に、先行する受付締切回で採択・交付決定を受けて、補助事業を実施した(している)者でないこと
■ 反社会的勢力でないこと 
■ 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に 100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
■ 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の平均額が 15 億円を超えていないこと

対象事業・対象経費

<対象事業>
次の①から④に掲げる要件をいずれも満たす事業であること
策定した「経営計画」に基づいて実施する、生産性向上のための取組み、
 あるいは販路開拓等の取組みとあわせて行う業務効率化のための取組みであること。
商工会の支援を受けながら取り組む事業であること
公募要領で指定する、一定の事業を行うものでないこと
複数事業者による共同申請の場合には、連携する全ての小規模事業者等が関与する事業であること

<対象経費>
補助事業期間中に、「販路開拓等(または業務効率化)の取組」を実施するために要した以下の費用が対象。
《機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金、専門家旅費、設備処分費、委託費、外注費》

補助率・補助上限額

<補助率>
 3分の2
<補助上限額>
一般型 50万円(共同事業の場合は500万円が上限)
ただし、
「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者
法人設立日が 2020 年1月1日以降である会社または税務署に提出する開業届に記載されている開業日が 2020 年1月1日以降である個人事業主

上記①②いずれかに合致する事業者については、「特定創業支援型」として補助上限額が100万円となります。

必要書類

 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1-1) 原本1部(必須)
 経営計画書兼補助事業計画書(様式2-1) 原本1部(必須)
 補助事業計画書(様式3-1) 原本1部(必須)
 事業支援計画書(様式4) 原本1部(必須) ※地域の商工会議所が発行
 補助金交付申請書(様式5) 原本1部(必須)
 電子媒体(CD-R・USBメモリ等) 1つ(必須) 
 (申込者が法人の場合)貸借対照表および損益計算書(直近1期分)写し1部(必須)
 (申込者が法人の場合)株主名簿 写し1部
 (個人事業主の場合)直近年度の確定申告書 写し1部(必須)
 【第一表、第二表、収支内訳書(1・2面)または所得税青色申告決算書(1~4面)】 (税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)
※ その他の個別条件において追加で必要となる書類については、応募要領を参照してください。

「小規模事業者持続化補助金」(低感染リスク型ビジネス枠)の概要

事業の目的

 本補助金事業は、小規模事業者自らが自社の経営を見つめ直し、経営計画及び補助事業計画を作成した上で行う新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を支援するものです。

補助金対象者

以下の一定の要件を満たす方が、本補助金の対象となります
■ 次のいずれかの国内の小規模事業者であること
  商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
  サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
  製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下
■ 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合または
  個人事業主(商工業者であること)もしくは一定の要件を満たした特定非営利活動法人
■ 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に 100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
■ 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
募集要項で定める3つの事業において、採択を受けて補助事業を実施した(している)者でないこと
■ 申請時に虚偽の内容を提出した事業者ではないこと
■ 「別掲:反社会的勢力排除に関する誓約事項」の「記」以下のいずれにも該当しない者 であり、かつ、今後、補助事業の実施期間内
■ 補助事業完了後も該当しないことを誓約すること
 

対象事業・対象経費

<対象事業>
 ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に取り組み、感染拡大防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行う事業が対象となります。
<対人接触機会を減少させる取組みの具体例>
同じスペースにいる顧客や従業員同士の人数や直接会う機会を減らす取り組み
お客さんと従業員の直接的な接点を減らす取り組み
会いに行くまたは集まる回数を減らす取り組み
お店以外でお客さんへの対応をする取り組み

<対象経費>
機械装置等費 
広報費 
展示会等出展費(オンラインによる展示会等に限る) 
開発費 
資料購入費 
雑役務費 
借料 
専門家謝金 
設備処分費 
委託費 
外注費 
感染防止対策費
※ ⑫は補助金総額の1/4(最大25万円)が上限。緊急事態措置に伴う特別措置を適用する場合、補助金総額の1/2(最大50万円)に上限を引き上げ。
 補助上限額100万円に上乗せして交付されるものではなく、感染防止対策費のみの申請はできません。

必要書類

<必須書類>
● 経営計画及び補助事業計画(様式1)
● 代表者本人が自署した「宣誓・同意書」(様式2)
● 個人事業主の場合 下記のすべての書類
 ア)税務署の収受日付印のある直近の「確定申告書」(第一表・第二表)
 イ)所得税青色申告決算書1~4面全て(白色申告の場合は、収支内訳書1~2面で可)
※確定申告を e-Tax により、電子申告した場合は、「メール詳細(受信通知)」を印刷したものを併せて提出します。
 また、収受日付印がない場合、税務署が発行する納税証明書(その2:所得金額の証明書)を併せて提出します(コピー不可)
 なお、決算期を一度も迎えていない場合のみ、申請時に開業していることが分かる税務署の収受日付印のある開業届を提出します。
● 法人の場合 下記のすべての書類
 ア)貸借対照表(直近1期分)
 イ)損益計算書(直近1期分)※決算期を一度も迎えていない場合は不要です。

<任意書類>
● 支援機関確認書:支援機関を利用する場合に提出
● 加点項目に関する必要書類:加点項目がある場合に提出。
なお、賃上げ加点は第4回受付締切分までで終了しました。 

小規模事業者持続化補助金の要件(一般型)

小規模事業者持続化補助金(一般型)の申請をする際には、次の要件を満たしている必要があります。

要件1:補助金の申請時点ですでに開業していること

本補助金の申請をするには、「商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること」が要件となります。
また、申請時点で開業していない創業予定者は対象外となります。
そのため、例えば、 既に税務署に開業届を提出していても、開業届の開業日が申請日よりも後となっている場合は対象とはなりません。

なお、申請にあたっては、開業していることが分かる税務署の収受日付印のある開業届を提出する必要があります。 

要件2:小規模事業者であること

本補助金の申請をするには、「小規模事業者であること」が必要です。
小規模事業者とは、以下の1.・2の.要件を満たす者となります。

1.規模による要件

以下のいずれかに該当する者
・ 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数5人以下
・ サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数20人以下
・ 製造業その他 常時使用する従業員の数20人以下

なお、業種は、日本標準産業分類ではなく、営む事業の内容と実態から判断します(現に行っている事業の業態、または今後予定している業態によって業種を判定します)

2.事業の形態による要件

以下のいずれかに該当する者
・ 会社および会社に準ずる営利法人 (株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・ 協業組合)
・ 個人事業主(商工業者であること)
・ 一定の要件を満たす特定非営利活動法人
  ただし、下記に該当する場合は対象となりません。
・ 医師、歯科医師、助産師
・ 系統出荷による収入のみである個人農業者
・ 協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
・ 一般社団法人、公益社団法人
・ 一般財団法人、公益財団法人
・ 医療法人
・ 宗教法人
・ 学校法人
・ 農事組合法人
・ 社会福祉法人
・ 任意団体 等
・ 申請時点で開業していない創業予定者
・ 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されている法人
・ 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の
  年平均額が 15 億円を超えている事業者

要件3:申請に当たり商工会議所・商工会の支援を受けること

 本補助金において行う事業は、「経営計画」にもとづいて実施する、地道な販路開拓等(生産性向上)または、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化のための取組みであることが必要となります。
 しかし、これらの取組みは勝手に行ってよいわけではなく、「商工会議所の支援を受けながら取り組む事業」でなければなりません。「商工会議所の支援を受けながら取り組む」とは、商工会議所の助言、指導、融資斡旋等の支援を受けながら事業を実施することを意味します。
 また、「経営計画書」および「補助事業計画書」(様式2・3)の写し等を地域の商工会議所窓に提出して、「事業支援計画書」(様式4)を作成・交付してもらう必要があります。

要件4:特定の事業に該当しないこと

本補助金は、以下に該当する事業については対象となりません。
・「同一内容の事業について、国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業」
 持続化補助金では、同一の補助事業(取組)について、重複して国の他の補助金を受け取 ることはできません。
 そのため、他の補助金を受給しているか受給予定の方は、補助金を受け取ることが可能かを、必ず双方の補助金事務局にあらかじめご確認ください。

・「本事業の完了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業」
  例えば、機械を導入して試作品開発を行うのみであり、本事業の取組が直接販売の見込みにつながらない事業などがこれに該当します。

・「事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの」  
  例えば、マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店、性風俗関連特殊営業などがこれに該当します。 

持続化補助金の審査を通りやすくするためのポイント

小規模事業者持続化補助金の採択は、審査にもとづき決定されます。
そのため審査を通りやすくするためには、以下のポイントに注意する必要があります。

ポイント①申請に必要な資料が全て提出されていること

 補助金の採否については、基礎審査(必要な提出書類がすべて提出されているか、公募要領に定めた各要件に合致しているかなど)のほか、経営計画の適切性や補助事業計画の有効性などの観点から審査が行われます。
 したがって、申請に必要なすべての資料が提出されていない場合には、審査の対象外となります。

 なお、補助金交付決定を受けた後、定められた期日までに実績報告書等の提出がない場合も、補助金が受け取れなくなります。

ポイント②補助対象者、補助対象事業の要件に合っていること

 本補助金の申請をするためには、補助対象者となっているだけでなく、すべての補助対象事業の要件を満たしていることが必要です。

 なお、要件等は、実施される回により変更されることが少なくありません。
 そのため、申請にあたっては、最新の公募要領などにより、最新の情報で確認することが不可欠となります。

ポイント③補助事業を遂行するのに必要な能力を十分有していること

 補助事業を遂行するためには、「事業を実現できる技術力やノウハウ」と「事業を実施できる資金力」の2つの能力が必要です。
 本補助金の事業を行うためには、その事業が持続的な経営に向けた地道な販路開拓やこれと併せて行う業務効率化の取組みでなくてはなりません。
 取組みの具体的な内容は事業者ごとに異なりますが、いずれにしてもそれらを実施できる技術やノウハウがあることが前提となります。
 計画の上だけであって、現実には実現できない技術や事業の役に立たないノウハウなどでなく、実際の補助事業の役に立つものである必要があります。
 また、事業を最後まで実施するには、そのための資金も必要となります。
 本補助金に限らず、ほとんどの補助金では、事業にかかる経費を事業者が立て替え、清算手続きを経たうえで支給されるのが原則です。

 補助金が先にもらえるわけではありません。
 そのため、事業を最後まで行える資金が準備できているかどうかが審査においても重要なポイントとなります。
 この資金はすべてが自己資金でなくともよく、銀行等からの借入れを利用することもできますが、その場合には融資が受けられる見込みにもとづいた計画でないと、採択をされても途中で資金繰りができなくなってしまいます。

ポイント④小規模事業者が主体的に活動し、その技術・ノウハウを基にした取組であること

 本補助金においては、小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウを基にした取組みであることが求められます。
 ここでいう「主体的な活動」とは、小規模事業者自らが自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓等の取組みを意味します。

 計画の作成にあたり外部のアドバイスを受けること自体は問題ありませんが、申請書の内容に事業者自らが検討しているような記載が見られない場合などは、評価に関わらず採択の対象とならないことがありますのでご注意ください。
 したがって、その事業が単に他のやり方をまねたものではなく、オリジナリティの技術力やノウハウを活かした取り組みとなっているかを確認してください。

ポイント⑤創業者に該当する場合には、補助上限額が上がる

・産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を過去3ヶ年度の間に受けたこと

・法人設立日が 2020 年1月1日以降である会社(企業組合・協業組合を含む)、または税務署に提出する開業届に記載されている開業日が 2020 年1月1日以降である個人事業主
 上記いずれかの要件を満たす創業者については、「特定創業支援等」として補助上限が100万円に引き上げられます。
※ ただし、特定非営利活動法人は、この補助上限引き上げ措置の適用対象外です。

<補助上限額>
一般型      :  50万円
特定創業支援等:  100万円

ポイント⑥賃金引上げ等の一定要件に該当する場合には、審査で優遇される

今回の公募にあたっては、「賃金引上げ枠」として新たな枠の要件を満たす者の他、以下の(1)~(5)の事業者については優先的に採択を行います。
※なお、賃上げ加点は第6回締切までで終了しました。

(1) 代表者が満 60 歳以上の事業者であって、

  かつ、後継者候補が中心となって補助事業を実施する事業者

(2) 生産性の向上(経営力強化)の取組を行っている事業者

(3) 過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓に取り組む事業者

(4) 補助金申請システム(Jグランツ)による電子申請を行った事業者

(5) 令和3年7月1日からの大雨により災害救助法の適用を受け、

  局地的に多数の建物が崩壊するなど、

  再建が極めて困難な状況にある地域(熱海市)において

  同大雨の被害を受けた事業者


まとめ
 「小規模事業者持続化補助金」は、補助上限額50万円(特定創業支援型は100万円)の比較的小規模の補助金ですが、創業者や中小企業の販路開拓等に利用できる使いやすい補助金です。
 現在は、一般型と低感染リスク型ビジネス枠に分かれているため、間違えがないように申請しましょう。
 また、詳細な要件は、実施する回ごとに変更されるため、申請にあたっては最新の公募要領等で要件を確認することも大切です。


この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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