起業をするときや、すでにある企業が新規事業に取り組む時、元手となる大きなお金が必要です。事務所の家賃や活動費、従業員の賃金の支払いなど、使わなくてはならないお金が沢山あります。そんな状況の手助けとなってくれるのが日本政策金融公庫の創業融資です。これから、その創業融資の詳細について説明していき、最終的にどのくらいの金額を創業融資で受ければいいのか説明します。
日本政策金融公庫の創業融資とは
ここでは日本政策金融公庫の創業融資の概要などを中心に説明していきます。創業融資は、創業者の支援を目的とした融資制度で、平成14年にスタートしました。この制度には特徴が3つあります。
【創業融資の特徴①】無担保・無保証
1つ目は、無担保で無保証人でも融資を受けられるという点です。
銀行から融資を受ける場合、銀行の多くは融資を受ける側に保証人や担保をつけることを要求することがほとんどです。その理由は融資の返済が滞った時のリスクを回避するためのものです。
仮に返済が滞った場合、銀行側は保証人に対し返済を要求したり、担保としてお金になるものを差し出すことを要求します。これは、創業者側としては大きなリスクを背負うものとなり、できれば避けたいものです。
この想いを実現したのが創業融資制度です。創業者は、リスクを最大限回避して融資を受けることができます。
【創業融資の特徴②】金利が低い
2つ目は、金利の低さです。
一つ目で挙げた無担保無保証人で融資を受けられるというのは、上記の通り保証人となるリスクや担保を差し出すことを回避できるということであり、それだけで大きなプレミアが付きます。そのため高金利を要求したりするケースがほとんどです。
事実このような融資制度をとっているもので有名なのが消費者金融です。消費者金融で受ける融資は、無担保無保証人で融資を受けられる代わりに、変動はありますが約9〜14パーセントの金利をつけます。しかし、日本政策金融公庫の創業融資制度では約2パーセントの金利で抑えられています。
このため、少額なら融資を受けた額と返す額との差額がほとんど出ません。
【創業融資の特徴③】限度額が決まっている
3つ目は、融資限度額が決まっていることです。
創業融資制度は今紹介した通り、他の融資制度と比べてとても良心的な融資制度です。そのため、利用する創業者が多くいます。
準備されている資金は有限なため、利用者全員に行き渡るように、融資の最大限度額は3000万円と定められています。
創業融資を受ける上で日本政策金融公庫が審査するポイント
創業融資を受ける場合、他の融資を受ける時と同じように審査があります。その審査で、日本政策金融公庫が見るポイントが3つあります。
【審査ポイント①】自己資金
1つ目は、自己資金です。自己資金とは、自分で働いて貯めたお金や親からもらったお金など、自ら所有しているお金のことです。
この自己資金が創業時に無い場合、創業融資を受けることが難しくなります。なぜなら、お金を融資する側のリスクがあまりにも大きいからです。
また、起業することに対しての計画性がない、本気度が感じられないなど、相手に対してマイナスイメージを与えてしまうからです。そのため、最低限の自己資金は起業する前に作っておきましょう。
【審査ポイント②】事業計画書
2つ目は、事業計画書です。事業計画書とは、これから始める事業の内容についての実現可能性、採算性、安全性、具体的な事業の進め方などを客観的に簡単にまとめた書類のことです。
ここで重要なのは、融資する側の日本政策金融公庫が、数値が現実的で、実効性のある事業計画書を求めることです。金融機関はどれほど売り上げが伸びるかなどは興味がありません。貸したお金をきちんと利息をつけて返してくれるかを求めています。
融資は一度断られると、次の融資はさらに難しくなります。そのため過大な売り上げの数字を出すよりも現実的で確実な事業計画書を作成するようにしましょう。
【審査ポイント③】過去の事故歴
3つ目は、過去の事故歴の有無です。事故歴とは、主に下記の項目をしている、またはした事がある方の事です。
・公共料金の未納がある
・支払っていない税金がある
・携帯電話の支払いを滞納したことがある
・クレジットカードや住宅ローン賃貸物件の家賃を長期にわたって滞納している
・自己破産、債務整理歴
事故歴があると、日本政策金融公庫はリスクを回避するために融資を渋る可能性が高いです。信用を得るためにもこのようなことは絶対にしないようにしましょう。
どれほどの融資を受けるのがベストか
ここでは、実際にどれほどの額の融資を受ければいいのかを説明します。
上記にある通り、創業融資は利息が2パーセントと低く、無担保無保証人で受けることのできるとても良心的なものです。しかし、利息2パーセントを侮ってはいけません。
創業融資の上限額は3000万円ですが、仮にこの上限額の融資を受けた場合、1年で60万円の利息が付いてしまいます。つまり、後先考えずに多額の創業融資を受けると大変な目にあうということです。
起業をする上で必要な資金は、会社登録免許の取得、事務所の家賃、備品、人件費、商品の仕入れ代など、多岐にわたります。また、起業後すぐに経営が軌道にのることはないに等しいので、当面の生活費も確保する必要があります。これらを合わせると最低でも800〜1000万円はかかってしまいます。
そのため、最大限創業融資を活用したいという場合は600〜800万円程。
創業融資を堅実に活用したいという場合は300〜500万円程。
利息をできるだけ払いたくない場合は100〜200万円程。
それぞれ足りない分を自己資金で補うのがベストだと言えるでしょう。