こんにちは、Scheeme MAG 編集部です。
美容師としてのキャリアを積み、技術に自信が持てるようになってくると、独立して「自分のお店を持ちたい!」という方もきっと多いはず。
開業融資を受けるために最も重要なのが、『事業計画書』です。
年間1万店舗が開業して8000店が廃業すると言われる美容室業界でしっかりと生き抜くためには、しっかりとした事業計画書を作り、融資の審査をクリアして無理ない資金繰りをすることが肝心です。
・融資担当者を納得させる3つのポイント
・美容師開業融資で気になる疑問を解決
美容室の開業に必要な事業計画書って何?
それでは、事業計画書とはどういうものなのでしょうか。
審査を受けるにあたってどうしても必要なものなのでしょうか?
たとえばこちらが、日本政策金融公庫の事業計画書(創業計画書)です。

この事業計画書というものはようするに、こちらが融資先にお金を返せるという根拠を示すためのものです。
融資審査の担当者はこの書類から、「この人にお金を貸して大丈夫かどうか」を判断するので、つまり審査を受けるにあたって事業計画書は絶対に必須のものと言えるでしょう。
この事業計画書でどれだけ金融機関を納得させることができるかが、融資審査を99%通すための大きなポイントになるわけです。
融資審査を99%通すためのポイントを3つ紹介!
ご覧の通り、事業計画書には記入箇所がたくさんありますが、その中でも融資審査担当者がもっとも重視するのは、以下の3つです。
①経営者の略歴
まず大事なのは、あなたについて説明することです。
といっても、履歴書のようにただこれまでの職歴などを並べただけでは、審査担当には響きません。
ここで審査担当が見るのは、【美容師としてのスキル】【経営者としての適正】【努力を継続することができるかどうか】の3点です。
美容師としてのスキルは、勤続年数や習得した技能、受賞歴や売上など、なるべく具体的に書くことが重要です。
経営者としての適正は、たとえば店長経験があるだとか、あるいは他業種での事業経営経験があるだとかいったことがあれば、記述しておくとプラスに作用します。
また、そうした記述の中で意識しておくべきことは、「努力できる人間である」ということをいかにアピールできるかということです。
長年のキャリアを積んで美容師としての技能を獲得してきたことは、まぎれもないあなたの努力であり、幾多の困難を乗り越えて経営努力を継続して事業を成功に導くための忍耐力があるという、一つの大きな根拠になります。
②必要資金と調達方法
必要は設備資金がいくらで、開業後、事業が軌道に乗るまでの運転資金がいくら必要なのか、それらをどのように調達するのかを記載します。
設備資金:店舗取得費用、※店舗家賃、内装・外装費用、シャンプー台や椅子、その他備品購入費
運転資金:店舗家賃、人件費、消耗品購入費
(※店舗家賃は本来運転資金ですが、通常、賃貸契約時には前家賃の支払いがあるので設備費用となります)
資金調達方法には、自己資金と公的機関、金融機関からの融資額および借入希望額を記載します。
自己資金は開業資金の1割以上あれば審査は受けられますが、通る確率は低くなりますし、仮に事業資金の総額の9割も融資を受ければ、その分返済額が大きくなり、後々の資金繰りも大変になります。
できれば3割以上の自己資金を用意するのが望ましいです。
ですが、3割でなければダメというわけでもありません。
大事なのは、事業計画書全体でどこまで説得力を持たせることができるかということで、自己資金の割合の大きさはその重要な根拠の1つである、ということです。
また、金額だけでなくプロセスがとても重要です。
たとえばタンス預金などは公的な記録が存在しないので、証拠として弱く、自己資金としては見てもらえません。
どうしても自己資金として使いたい場合は事前に銀行口座等に入金して記録する必要がありますし、同様に、親族による一時的な見せ金などもすぐに露見して、却って信用を落とす結果になりかねないので、くれぐれもご注意ください。
③収支計画
ここが最重要ポイントです。
お金を借りるためには、「ちゃんと利益が出るので返せます」ということをアピールすることが重要で、ここがその根拠の部分になるからです。
記入の際は、客単価、見込み客数といった収入見込みから仕入れの単価、数量に返済利息など、すべてきっちり計算して、可能な限り正確に記入することが重要です。
これまでの固定客の数など、根拠となるものを明らかにして、けっして大雑把な概算で書かないようにしましょう。
実際の事業計画書の記入例を紹介
先程の日本政策金融公庫の事業計画書(創業計画書)の記入例です。

日本政策金融公庫の記入例をご紹介しましたが、事業計画書には履歴書のように統一されたフォーマットといったものはなく、融資を申し込む金融機関によって様式が違っていたり、また、まったくテンプレートが用意されていない状態から作成する場合もあります。
それぞれ書き方が違うので戸惑ってしまうかもしれませんが、お金を返せるという根拠を示すものなんだということを忘れずに、上でご紹介した融資審査の担当者が重視するポイントさえ抑えておけば、どんな書式であってたとしても問題ありません。
美容室の開業融資で気になる疑問を紹介
①開業では融資を受けられない?
知恵袋などで、「融資実行にならない」と断言している方がいますが、決してそんなことはありません。
開業融資で融資を受けられない場合の最大の理由は『信用力』が足りていないからでしょう。それはなぜかというと、実績がないからです。
考えてみてください。
たしかに、翌年に事業がうまくいっている会社であれば、開業当時よりも融資は受けやすくなるでしょう。
ですが、実際には翌年にうまくいっていない会社の方が現実としては多く、そうなると融資は逆に受けづらくなります。
そんな中、開業融資はこれから事業を開始するための『事業計画』だけで判断されるのです。
むしろ開業時は、融資申請をするベストタイミングと言えるでしょう。
②なるべく融資は受けないほうがいい?
滅多にないケースですが、自己資金だけで開業できるという方がたまにいらっしゃいます。
また、ドラマなどのイメージで銀行から大口の融資を受けるということに漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃったり、ご家族やお知り合いからも借りないほうがいいと言われる方もいらっしゃると思います。
ですが、自己資金は武器です。
それだけ有利な条件でお金を借りることができるということですし、逆に自己資金がなくなれば融資は受けづらくなります。
また、公的融資であれば利率も低いので、利益を圧迫することもありません。
将来を見据えてお手元の自己資金はなるべく使わず、余裕のあるときに借入をするのは賢いお金の使い方と言えるでしょう。
③事業計画書は何のためにあるの?
一番の存在理由は、融資先にお金を返せるという根拠を示すためにあります。
ですが、融資を受けないという方にとっても、具体的な計画を立てて、経営の見通しを書き残しておくということは、今後の運営上でもとても重要な役割を持つでしょう。
また、後に事業計画の見直しや修正をする際にも、開業当時に作った事業計画書を元にすることができますので、融資を受ける、受けないに関わらず、開業時に必須の書類と言えるでしょう。
まとめ|融資の審査を99%通す事業計画書のポイントは?
今回の内容をまとめます!
・審査担当者は「経営者の略歴」で、美容師技能と経営者適正、努力を見る
・自己資金は支払い能力の根拠となる重要ポイント
・収支計画は正確に計算して、きっちりと返済できる見通しを示す
これから美容師開業を目指す方にとって、開業融資審査を通すというのは、とても高いハードルかもしれません。
ですが、これからの将来事業を続けていくにあたって、過去の業績ではなく未来の業績だけで判断してもらえるチャンスは、開業の今この時だけです。
そして、ポイント正しく押さえた事業計画書を書くことで、融資審査の成功率はグッと高まります!