こんにちは、Scheeme MAG 編集部です。
理容師や床屋で経験を積むと、やりたいことが多くなり、独立や開業を考える機会も増えるのではないでしょうか。
しかし、中には
なにから始めればよいんだろう?
独立や開業はやっぱり不安
という方もいると思います。
独立や開業がうまくいかないのは、情報不足であることが多いです。
この記事では、独立や開業の流れや資金について紹介しています。
しっかり押さえて、理容師としての夢をできるだけ早く叶えましょう。
また、独立や開業の失敗要因や成功するポイントも解説しているので、ぜひ役立ててくください。
事業計画書の書き方やビジネスモデルについても紹介しているので、経営をやったことがないという方にもおすすめです。
理容師と美容師の違い
理容師に必要なのは「理容師資格」、美容師に必要なのは「美容師資格」です。
また理容師は、剃刀で顔そりできますが、パーマをかけられません。
一方美容師は、剃刀による顔そりができないものの、パーマをかけられます。
このように理容師と美容師は、必要な資格と業務内容が異なるのです。
開業するならどっちがよいのか
どちらを開業すればよいかは、需要やライバル店の状況によって異なります。年齢層が高く男性が多い地域は理容師の方がよいでしょうし、若年層が多い地域は美容師の方がよいでしょう。
開業の際は、リサーチをしっかり行い、どちらの方が儲けやすいか判断してください。
理容師と美容師は、基本的に異なる店舗でしか業務を行えません。
そのため理容所として開業したのち、美容所として運営するのは困難です。美容師と理容師を同一敷地内で働かせるには、全スタッフが両方の資格をもっている必要があります。
さらに詳しく知りたい方は、厚生労働省の理容業のページと美容業のページをご覧ください。
理容室や床屋を開業する流れ
理容師や床屋の開業は、以下の手順で行います。
②プランニングを行う
③開業スケジュールの作成
④具体的な開業準備に取り掛かる
⑤開業前の最終準備に取り掛かる
⑥開業
>>開業準備!普通の方が起業するには何を用意したらいい?開業の流れを説明します
①どんなお店にしたいかを決める
まず最初に、お店のコンセプトを決め、経営上の目標を設定しましょう。
コンセプトの決め方はいろいろありますが、社会的価値をベースに考えるのがおすすめです。
たとえば「高度な技術でお客さまの要望を叶えたい」というコンセプトなら、少数精鋭の会員制サロンなどが合っているでしょう。
コンセプトが決まったら、経営上の目標を設定します。
上記の例でいえば、「高単価のリピーターを増やし、月の粗利を100万円にする」などです。
コンセプトと目的が決まれば、必要な立地や間取り、備品など、経営するサロンのイメージがみえてきます。
②独立するためのプランニングを行う
コンセプトと目的を達成するために、必要な資金計画や事業計画書の作成を行います。客層や事業計画をもとに、出店候補地も決めましょう。
開業資金は、金融機関と公的機関から融資してもらうのが一般的です。前者は銀行や信用金庫、後者は日本政策金融公庫などが該当します。
公的機関は、無担保や無保証、低金利などの融資プランが多いのでおすすめです。
初めての場合は、開業セミナーに参加するのがよいでしょう。
開業セミナーでは、資金の借入先や事業計画書の書き方などを丁寧に教えてくれます。
詳しく知りたい方はサロンづくり情報総合サイトからお探しください
③開業スケジュールの作成
開業までにしなければならないことを、時系列で確認できるようにします。独立に際し必要なことをすべて列挙しましょう。
これをもとに開業準備に入るため、漏れがないようにしてください。
開業日を10月1日とした場合の、大まかなスケジュールは以下の通りです。
・資金の借り入れ(4~9月)
・外装、内装工事(9月~)
・スタッフの雇用活動(4月~開業日)
・使用機器の選定、仕入れ(4~8月)
・役所への届け出(8月~)
・現職場の退職(~8月半ば)
・広告宣伝(9月~開業日)
④具体的な開業準備に取り掛かる
スケジュールに沿って、具体的な開業準備に取り掛かります。同じ時期に物件の選定や資金の借入れなどが重なるため、計画性をもって進めましょう。
仕事に影響が出ないよう、余裕をもって行動することが大切です。
物件が確定したら、サロンのデザインや融資先、機器の配置やメニューなどを決めます。
スタッフ募集や役所の手続きも合わせて行いましょう。
⑤開業前の最終準備に取り掛かる
開業日の1か月前には、広告宣伝やスタッフの最終教育、会計事務所との契約、化粧品・ヘアケア商品の仕入れなどを行います。
店内備品は、チェックシートを作成し、必要なものが揃っているか確認しましょう。
⑥開業
いよいよ開業となります。スタッフ全員の力を合わせて、活気ある職場にしましょう。
開業直後は、そのお店の印象を決める重要な時期です。ちょっとしたミスでリピーターの減少に繋がる可能性もあります。
トラブルも多いかと思いますが、丁寧かつアグレッシブに乗り切ってください。
【もっと詳しく】理容師や床屋の開業で役立つ情報
理容師や床屋の開業で役立つ情報を2つ紹介します。いずれも重要なので、ぜひ参考にしてください。
①事業計画・ビジネスモデルの策定方法
事業計画やビジネスモデルは、経営のカギを握る重要なファクターです。安定した利益獲得に必要なため、しっかりと作成しましょう。
以下のステップを経れば、作成しやすくなります。
2.固定費を想定する
3.原価率を設定する
4.売上を設定する
固定費は、給与や家賃、水道光熱費や広告宣伝費などです。
原価率は、理容師や床屋の場合、5%~10%ほどになります。
最後に、目標利益をだすのに必要な売上高を算出すれば、完了です。
上記の手法は大変シンプルですが、誰でも事業計画を立てられる汎用性があります。難しい計算もないため、初心者におすすめです。
②開業に必要な役所での手続き
理容師や床屋を開業するには、税務署や保健所、年金事務所などの手続きが必要です。開業日の1か月前には、必要な書類を提出しましょう。
提出書類は、業態やスタッフの人数によって異なります。
一般的なものは、以下の通りです。
・個人事業の開廃業等届出書
・個人事業開始申告書
・開設届、施設平面図
・構造、設備の概要
・会社の登記簿謄本(法人のみ)
・有資格者の免許証
・スタッフ名簿
・スタッフの健康診断書
・店舗の図面(2部)
理容師や床屋の開業を失敗させないためのコツ
理容師や床屋の開業を成功させるポイントを紹介します。安定した経営をするのに、役立ててください。
①開業資金をしっかり用意する
理容師や床屋の開業には、初期費用となる「設備資金」と「運転資金」が必要です。
設備資金
設備資金は、店内の備品や外装費など、多岐に渡ります。お客さまを迎えるにあたり、必要なものをすべて揃えましょう
・物件取得費用(家賃、保証金など)
・店舗の内装、外装費
・リクライニング椅子
・スチーマー
・剃刀(替え刃含む)
・ヘアケア商品(シャンプー、トニックなど)
・広告宣伝費(チラシ、web広告など)
・従業員の研修費
内装や外装費は、最初から店舗を作る場合で、2,000万円以上かかります。このお金を金融機関から借りる場合は、融資額の30~40%に相当する担保金が必要です。
つまり、店舗を用意するだけで、600万円~800万円の自己資金が必要になります。
コストを抑えたいときは、前居住者の備品を流用する「居抜き物件」を活用するとよいでしょう。
リクライニング椅子は、1台揃えるのに30~100万円ほど必要です。大きな投資となるため、予算と相談しながら、良質な商品を揃えましょう。
運転資金
理容師や床屋の経営は、長期的な視野をもって行うことが大切です。すぐに黒字になるほうが少ないため、赤字でも経営を続けられる余剰資金を用意する必要があります。
この余剰資金にあたるのが、運転資金です。
運転資金は、予想される経費の、3か月~6か月分を用意しましょう。月80万円だとすると、最低でも240万円必要です。
設備資金で600万円~800万円いることを考えると、開業資金に必要な金額は、1,000~2,000万円ほどになります。
②しっかりとした情報収集を行う
理容師や床屋の開業は、思い付きで始めると失敗します。雇われで働いていたときと比べ、経営能力が重要になるためです。
スキルが高いだけではお客さまがつかず、せっかくの技術も活かされません。
必要な情報は時代により変わるため、普段から情報収集を徹底しましょう。
③苦しい経験をする覚悟をもつ
理容師や床屋の開業は、言うほど簡単ではありません。開店して1か月以上お客がこない、なんてこともザラにあります。
赤字が続くと借金返済が難しくなり、精神的にも疲弊するでしょう。
開業の際は、ある一定期間、苦しい経験をする覚悟をもってください。
現在華やかに活躍している方でも、一定期間、人に言えないようなご苦労をされています。
④開業後の経営努力を怠らない
想定したビジネスモデルになるまでは、最低でも1年~3年ほどかかります。1~2ヵ月で成功する方が珍しいため、開業後はしばらく業務改善に集中しましょう。
失敗の原因を明確にし、問題を根本から解消することが大切です。
同じ業界で成功している人のやり方を真似るのもよいでしょう。
理容師や床屋の開業における注意点
理容師や床屋の開業において、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
具体的な注意点を紹介します。
①理容師の資格がなくても経営者になれる
開業に際し、経営者自身が理容師である必要はありません。
理容師の有資格者をスタッフとして雇えば、無資格でも経営者として働けます。
ちなみに理容師資格をもつスタッフが2人以上いる場合は、管理理容師の採用が必要です。
②保険には必ず加入する
開業に必要な保険は、火災保険と賠償責任保険の2つです。
火災保険は、物件取得の際に強制加入することがほとんどなので、特に意識する必要はありません。
賠償責任保険は、お客さまの所持品に損害を与えた場合や、怪我をさせた場合に適用される保険です。任意ですがたいへん便利なので、加入することをおすすめします。
まとめ
理容師や床屋を開業する手順は、以下の通りです。
②プランニングを行う
③開業スケジュールの作成
④具体的な開業準備に取り掛かる
⑤開業前の最終準備に取り掛かる
⑥開業
開業の際は、事業計画書とビジネスモデルが必要です。
コンセプトと経営目標が明確であるほど、開業スケジュールも立てやすくなります。
開業後の業務改善にも役立つので、しっかりと作成しましょう。
開業するということは、理容師や床屋という職人から、経営者になることです。スキル以上に経営力がものをいうため、準備を徹底してください。
スキルに甘えて情報収集を怠ると、開業後の苦難が大きくなります。
開業準備を綿密に行って、理想的な生活を手に入れましょう。