会社の中長期的な事業計画書である経営計画書。会社の将来について方向性を定めるためには、経営計画書の作成がとても大切です。ここでは、経営計画書の必要性についてより具体的に紹介します。さらに経営計画書作成のモチベーションを維持するために、そのメリットを取り上げます。そして作成方法について、大切な4つのステップを見ていきます。
経営計画書はなぜ必要か
経営計画書とは会社の中長期的な事業計画書のことであり、今後どのように会社を経営していくのかを書類にまとめたものです。基本的に経営計画書はその会社の経営者が作成するものであり、従業員や会社の未来について数値で示します。そして、それを達成するための具体的な対策を文章に組み入れます。
このように経営計画書は会社の未来の指針を示したものであり、これがなければ会社の将来が見えません。もし経営計画書がなければ、継続的な事業は難しくなるでしょう。
経営計画書は、とくに中小企業の経営者が活用することが多いといわれています。経営者が1人だけで事業を続けていくならば、経営計画書の作成はあまり必要ありません。そのため、経営者の経験や勘を頼りにしても問題ないでしょう。
ところが中小企業が成長を続けると、自ずと従業員の数が増えてきます。従業員の数が増えてくれば、経営者の経験や勘だけでは成り立たなくなってしまいます。経営計画書を作成して、経営者の考えを従業員に浸透させていく必要があります。
仮に経営者の勘だけで事業がうまく軌道に乗っても、経営計画書がなければそれを検証する術がありません。つまり経営が軌道に乗ったのは偶然なのか、或いは何か理由があるのかが曖昧なままになってしまいます。そのため、次回に同じような成果が挙げられるかは不明です。このように、自分達の会社の経営を良い方向へと導くために、経営計画書の作成が求められています。
会社の経営は1回限りでなく、長期間にわたって続けられます。目先のことだけでなく将来を見据えたうえで、経営計画書の存在はとても重要なのです。
経営計画書作成のメリットとは
従業員や会社の未来のために、経営計画書が必要であることは多くの経営者が知っていることです。ただし、経営計画書を作成するメリットが分からなければ、なかなか作成するには至りません。何故なら経営者の多くは日々の業務に追われているため、経営計画書を作成する時間があまり取れないからです。
しかし、忙しい業務の合間をぬってまでも、経営計画書を作るメリットがあります。それを知っておくことで、経営計画書作成のモチベーションは維持できるのです。経営計画書作成のメリットは大きく4点あります。
【経営計画書のメリット①】:経営状態を数字で知ることができる
第1は今の経営に必要なことが分かる点です。経営計画書を作ることで、会社の経営状態をハッキリと数字で知ることが可能です。それによって今の経営に必要なことが明確になり、次の一手が打ちやすくなります。
【経営計画書のメリット②】:経営方針を見直すきっかけ
第2は経営方針を見直すきっかけになることです。従業員や会社の未来を数値化することで、経営方針を見直すチャンスが誕生します。つまりそれは、新たな利益を生み出すための方針転換へとつながるのです。さらに経営者の考え方が伝わることは、従業員のやる気へとつながります。そしてそれは、従業員の質の向上にもつながっていくのです。
【経営計画書のメリット③】:資金繰りが見える
第3は会社の資金繰りが見えてくる点です。会社が生き残るためには資金繰りは非常に大切ですが、経営計画書がなければどの位の資金が必要か見えてきません。経営計画書があれば必要な資金が分かるし、資金調達の計画を立てやすくなるメリットがあります。
【経営計画書のメリット④】:金融機関などからの融資に役立つ
第4は金融機関からの融資に役立つことです。実はこれが一番のメリットかもしれません。金融機関では融資可否のポイントに、企業が利益を生み出してくれるかどうかを挙げています。
そこで経営計画書によってどうやって利益を出していくかをはっきり示し、そのためにはどの位の資金が必要かを明示しましょう。お金の使い道がはっきりするほど、金融機関から融資を受けやすくなり、お互いの信頼関係にもつながっていきます。
経営計画書の作成ステップ
経営計画書の必要性は分かったけど、どのようにして作成したらよいか分からないという経営者は少なくありません。経営計画書の作成に当たっては大きく4つのステップがあります。
①自分の会社を知る
②自社を取り巻く環境を把握
③将来の目標
④目標達成までの手順
【経営計画書の作成ステップ①】自分の会社を知る
1つ目は自分の会社のことを知ることです。これは自社の強みや弱みを知ったり、現状を把握したりすることが該当します。企業概要や事業コンセプト、企業分析という項目で作成します。
【経営計画書の作成ステップ②】自社を取り巻く環境を把握
2つ目は自社を取り巻く環境を把握します。社会情勢の変化やユーザーのニーズなど、周囲の環境は時代と共に大きく変化します。会社はこの変化を予測して対応することが求められています。ここでは市場分析や競合分析の項目を作成すると良いでしょう。
【経営計画書の作成ステップ③】将来の目標
3つ目は将来の目標を定めます。とはいっても10年や20年先のことではなく、3~5年後の経営目標を立てます。売上高や従業員数など、具体的な数値を盛り込むことをおすすめします。
【経営計画書の作成ステップ④】目標達成までの手順
4つ目は目標達成までの手順を決定する点です。何故なら目標達成の方法は具体的であるほど、道筋がはっきりと見えてくるからです。もし自分1人で作成することが難しいならば、顧問になっている会計事務所や税理士事務所に相談すると良いでしょう。