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PL(損益計算書)の書き方マニュアル!【完全版】

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事業計画書の損益計算書 書き方マニュアル |スキーム マグ
損益計算書の書き方について知りたいですか?本記事ではPL(損益計算書)の作成方法を、概要説明から計上の仕方、記載しなければいけない項目や注意点などを、細かく解説しています。損益計算書の書き方が分からない方は必見です。
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日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受けて、これから事業を始める人にとって必要となるのは、しっかりとした事業計画です。毎事業年度ごとに安定した利益を生み出せるような経営スタイルを確立して、融資してもらった金額をできるだけ早期に返済することが重要です。そのためには、自社の経営状態を正しく把握していくことが大切なのですが、正確な損益計算書の作成も重要な要素になります。

損益計算書の作成の方法

日本政策金融公庫から受けた融資を毎事業年度ごとにしっかりと返済するために欠かせないのが、正しい損益計算書の作成です。損益計算書とは事業年度ごとの、企業の事業活動を損益という観点から記録したものです。PLという言葉で短縮して呼ばれることもあります。企業の事業活動は各事業年度を区切りとして行われて、法人税などの税金もこの事業年度ごとの損益をもとに課せられるので、正確な損益計算書を作成することには納税のためにも大きな意味があります。損益計算書は大きくわけて二つの要素から成り立っています。企業が各事業年度において事業活動から得た利益の金額と、事業を行う上で必要となった費用の金額の記載です。これらの金額を企業の支出した費用の種類によって分類しながら記録していくことで、損益計算書は成り立っています。

損益計算書を作成するためにまず記載しなければいけないのは、事業年度ごとの売上高の計上です。この売上高の計算をするにあたっては、事業年度ごとに獲得した売上額をそのまま計上することが原則ですが、この原則には例外もあります。特に、重要になるのが、企業が損益を期間計算している場合です。建設業の場合などで、複数の事業年度にわたって工事をしている場合には、その工事が完成した場合に得られる収入を事業年度ごとに完成した工事に対応する部分の利益を、それぞれの事業年度の収益として計上できるという例外があります。その他に、貸借対照表で未収収益として計上した利益がある場合には、それに対応する金額を当期の売上高に加算する必要があります。

また、売上高によって、当期に獲得した全ての収益を表示した後に、記載しなければいけないのは売上原価です。この売上原価の計算は、自社で製品を製造して販売している企業と、他社が製造した製品を購入して販売している企業とでは大きく異なります。他社から製品を仕入れて販売している企業の場合には、まず前事業年度の終了時に残っている在庫に対応する原価を期首棚卸高として記載する必要があります。その下に当事業年度において仕入れた金額を当期仕入高として記載します。これらの金額を合計した金額が当事業年度末における仕入原価の総額です。これらの原価のうち、当期に販売した商品に対応する分の原価だけを、当期の売上原価として計上します。事業年度末に売れ残った商品については、期末棚卸高として当期の売上原価から除外して計算します。この期末棚卸高の計算にあたっては、古い仕入れから順番に原価として計上していく方法や、仕入れ原価の合計額から平均して計上する方法があります。

各期の売上高から上記の売上原価を控除した金額が売上総利益となります。これは販売した製品の販売額とそれを製造したり仕入れたりするのに要した金額の差額であり、販売活動においての純粋な差益になります。ですが、実際に事業を行う上では、仕入れや製造などの製品や商品に対応する費用だけでなく、人件費などの各種の費用も必要になります。こうした費用をまとめて計上するのが販売費および一般管理費の欄です。ここでは事業年度ごとに従業員に支払った給与の総額のほかに、事業を行う上で必要となった売上原価以外の各種の営業上の費用をまとめて記載します。

さらに、販売費および一般管理費の計上において複雑な計算が必要となるのが原価償却費の計算です。企業が事業活動を行う上で必要となる資産を購入した場合には、購入した事業年度において、まとめて費用として計上できるわけでなく、法令で定められた基準にしたがって、事業年度ごとに一定の額を計上する必要があります。原価償却費は、定額法という毎期同額の金額を費用として計上する方法のほかに、償却費の残額に一定の償却率を乗じて計算する定率法があります。

そして、売上総利益から販売費および一般管理費を控除した金額が、各事業年度の営業利益となります。これは企業が主な事業として行っている事業から得られた純粋な利益となります。この他に、事業活動以外から得た収入や損益がある場合には、営業利益の下に、営業外利益もしくは営業外費用として記載します。こうした収益や費用の代表的なものとしては企業が金融機関に預けている預金から得られた利息などがあります。また、所有している株式から得られた配当金なども営業外利益となります。営業利益からこれらの収益・費用を加減した金額が当期の経常利益となります。ここから特別利益や特別損失を控除した金額が、税引前当期純利益となります。この税引前当期純利益から法人税等を控除した金額が、最終的に当期純利益となります。

正しい損益計算書でわかる自社の経営状態

損益計算書を毎事業年度ごとにしっかりと作成することには、自社の経営状態を把握する上で非常に大きな意味があります。たとえ、各事業年度の当期純利益は黒字であっても、それがどのような内容のものであるかを知るためには、損益計算書の作成は欠かすことができません。経常利益や営業利益の金額も毎事業年度ごとに正しく把握していくことで、安定した企業経営に役立てることができます。

この記事の監修
Scheeme株式会社
ScheemeMAG編集部
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